月と星と指切りげんまん


「イダダダダァ゛〜!?ちょっ、もっと優しくしてくれる!?頼むからァァア!!」



『私優しく無いから無理』



騒ぐ銀時にそう言って、腕に巻いている包帯にギュッと力を入れる




『全く、相手の数見て戦いなさいよ。何で私達待たなかったの??』




今日戦った相手軍は中々数が多くて銀時達だけの数じゃ厳しい物があった


だから援軍を呼んでいたのに、銀時はそれを待たずに1人敵の中に走って行ったのだ





挙げ句、腕や腹を怪我してボロボロの帰還だ





「お前らが来なくても俺1人で十分だったんだよ」




「そんな事言っときながら俺達が来たときには、テメェ既にボロボロだったじゃねェかよ」



横で見ていた晋助が言った


「ボロボロじゃねェよ、ファッションなんだよアレは!!最先端なんだよ!!」



「『バーカ』」


何が最先端だ
相変わらずどんだけ負けず嫌いなんだ




『ハァ…ハイ終わり、ちゃんと治るまで無茶禁止だからね』



「ヘーイ」


コイツ絶対分かって無いだろ
全く無茶する所は昔から誰も変わんないな





『晋助は怪我大丈夫?』


「俺ァもう手当てした」


『あっそ』


見た所、大したこと無さそうで良かった






「お前は?」


『何が??』


「怪我」



素っ気ない様でちゃんと心配してくれてる銀時と晋助


皆自分の方がいっぱい怪我してるのに、私の事も心配してくれて優しい



『大丈夫、私最強だから』



ニシシとピースして笑って答える

ここの人は皆優しい


天人は凄く憎いしこの国も大切だけど、
私はそれよりもこの人達を守る為に刀を振るいたいんだ


優しくて強い皆が大好きだから












『よいしょっと…』


星と月以外の明かりが消えた時間、屋根の上に登る


今日は満月で外が明るくて良く見える



「遅ェぞ咲夜」



『ゴメン、ゴメン』


そう言った先には銀時、晋助、ヅラ、辰馬の4人





「見ろ、今夜は見事な月だ」


ヅラに言われて空を見上げる





『……すご』



そこには普段よりも沢山の、本当に沢山の星と大きくまん丸に輝く月があった


余りにも綺麗で思わず声を失う



暫くの間、誰も声を出さずに空を見詰めた






こんなに綺麗な夜空を生きている間に、何回見る事が出来るだろう…


『……』



何回って言うか、まず明日もこうやって夜空を見上げる事が出来るのかも分からない

そんな戦いの中生きている私達





今この瞬間が永遠に続けば良いのに、柄にもなくそんな事を思ってしまう


でも、そんな事が出来る訳無い事を知ってるから




『…今見てるこの景色をずっと覚えていようね』



思い出として記憶の中に焼き尽くす
私達の国はまだこんなに綺麗に輝く事が出来るんだと





「咲夜の癖に何女みたいな事言ってんだァ?」




小馬鹿にした様に晋助が言った
女らしくなくて悪かったなチビ杉め



『だっていつまた皆でこうやって夜空見れるか分からないでしょ?』





マイナスな意味じゃ無くて、
例えば、この戦いが終わったら皆それぞれ別の道を行くだろうし
もしかしたら刀を交える事も有るかも知れない…


直ぐに会える距離に居るとも限らない




『もしそう言う事があってもさ、今日一緒に見たこの空を忘れなかったら、私はそれで良いと思うよ』




少なくとも私は、




『…そしたら寂しく無いでしょう?』



笑って4人の顔を見る








「そうだな…」


「アハハハハ〜、咲夜も偶には良いことを言うのォ〜」


「本当になァ〜」


『アハ、どう言う意味!?』



「……」




晋助はずっと黙ってるけど思ってる事は何となく皆に伝わってるからそれで良いと思う


それが私達らしい






『…じゃあ約束!!』


4人の前に小指を出す



そしたらヅラと辰馬は直ぐに同じ様に小指を出してくれて
銀時と、晋助も少し遅れて出してくれた



「んだよ高杉、ノリノリじゃねェか」


「…うっせェ」




そんな会話を聞くと、自然と笑みが浮かぶ



『指切りげ〜んまん、嘘付いた〜ら恥ずかしい思い出大声で言いふらしてやーるぞ!!指切った!!』



歌に合わせて指を離す



「なんだ、その歌」


「ハハ、しょーもね」



『いーの!!約束だからね!!』


そう言って私はまた笑った







指切りげんまん
そしてキミの笑顔



(恥ずかしい思い出とか俺ら有り過ぎてキリねェんじゃねェの?)


(ハハ、確かに)




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