『“良い人”と“恋愛”の好きは違う、か…。』



帰り道、葵に言われた事を考える


確かにそれはそうかもだけど、別に私は沖田君の事を“恋愛”として好きなんだから問題無いよね



きっかけはそうだったかも知れないけど…

今はちゃんと…好きだもんね



『大丈夫、間違ってない!』



「何が間違ってないんでィ?」



『!!お、沖田君…!』



いきなりナチュラルに話し掛けられてビックリした



さっきと同じ質問をされて、何でも無いと誤魔化す


沖田君帰り道コッチ通るんだ、知らなかったな


…じゃ無くて、屋上での出来事を目撃してしまった私的には微妙に気まずい



「月城今から暇?」



そんな私の心情を知らない沖田君は、閃いた様に私に言った



「今から斉藤ん所案内しなせェ」


『…は?』



斉藤って…誰だ?
















『…沖田君沖田君、斉藤じゃ無くて佐藤だよ』


「似た様なもんだろィ」



言いながらポテトを摘む沖田君



今、沖田君と2人で!!
翔樹君のバイト先の喫茶店に来ています!


いきなり誘われたからビックリしたけど、財布持ってきてて良かった!

しかもこれって周りから見たら、デ、デートに見えるんじゃ…



「…で、斉藤だか佐藤だかはどいつでさァ?」



きょろきょろと辺りを見回す沖田君は、まァ当たり前だけどそんな事やっぱり思わないか



『うーん…いないっぽいね』


「なんでィ、来た意味無ェじゃ無ェか」




残念そうに言う沖田君、と言うかちゃんと協力してくれようとしてるんだ…

なんかビックリだな


ちょっと嬉しいかも……って喜んだら駄目だ!
私沖田君に嘘付いてるんだから!!


協力されたら駄目なんだってば!




『(…どーしよっかな)』



う〜ん…

翔樹君がいないんじゃ沖田君も此処にいる意味無い…んだろうなァ



てことはもう帰っちゃうのかな…

それ以外で私といる意味無いんだろうし
やっぱり私なんかアウトオブ眼中…



『…はァ』


切なすぎるぜ……。



「…なんでィ、そんなに会いたかったのかよ」


『え?……まァ』



別に本当は割とどっちでも…あ、でも久し振りだし、やっぱ軽く会いたかったかも



「そー言うの俺には良く分かん無ェ」


『?』



「月城はソイツと付き合いてェんですかィ?」



『ブッ…!?…な、何をいきなり…!?』



突然過ぎる質問に飲んでいたジュースを噴き出しそうになる

…噴き出したら完璧に沖田君にかかるところだった
スーパーギリギリセーフ!!



「別に…ただ思っただけ」


焦る私とは反対に、聞いてきた沖田君は大して興味も無さそうに言った

どうしたんだろ…?




『お、沖田君は…その、誰かと付き合ったりとかは…?』


「めんどい」



『あ、…そうなんだ』



私の勇気ある質問は一言で片付けられました
しかもめんどいって…

なんかヘコむ…



「別に好きでも無ェ奴の我が儘なんて聞く気無ェし、フったらフったで一々煩ェし被害者面するし」



珍しく話し出す沖田君


…それって、今日の事言ってるのかな



『……』


確かに私も中沢さんに感情移入しちゃったけど、

葵の言う通り沖田君だって別にただ冷たくフった訳じゃ無いんだよね


今までその事で、きっと沖田君も嫌な思いをして来たんだ



話す沖田君を見ながら思う

…私って沖田君の事全然知らないんだな



「まず好きって、俺のどこ見て言ってんだ…って話で……」


『?』



急にハッとした様に話を止めた



「別に考えたら月城に話す様な事じゃ無かったねィ」



そう言って黙ってしまった


沖田君の中での私は、翔樹君に片思いしてるってだけの存在で


それ以上には思って貰えないのかな…


それは、嫌だな、



『あの…沖田君……わ、私と…』



せめて今は沖田君の好きな人には成れなくても

普通に話したり笑ったり出来る存在に成りたい



『友達になって下さい!』




 

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