今までの人生で、こんなに沈黙が辛過ぎる事があっただろうか…



『……』



「……」



友達になって宣言から、沖田君は何とも言えない微妙な顔で黙り込んでしまった


まァ1分くらいしか経ってないけど



でも!!
今の私にはその1分がもの凄ォ〜く長く感じる


調子乗り過ぎたかな…とか、怒らせたかなとか…

…余計な接点持ちたく無いとか思われてたらどうしよう…


辛過ぎて立ち直れない…



「…いきなりどうしたんでィ」



チラッと沖田君を見てみると、別に怒ってる様子も無いいつもと同じ顔だった


…良かった、ウザがられて無いっぽい



『その…頼ってばっかりで沖田君に悪いなって思ったと言うか……仲良くなりたいと言うか…』




い、言ってしまったァァア!!
仲良くなりたいって!!言えたよ私!!


色んな意味で下心が有るようで無いようで、やっぱり有る一言を遂に言ってしまった!



「…俺と?」



コクリと頷く


『…だ、ダメかな?』



また黙ってしまった沖田君に遠慮がちに聞く


ヤバい…
何なんだ今の私は!?

いつもだったら有り得ないくらいの行動力のハンパなさだよコレ!?


ジッと沖田君を見ていると、フッと笑って言った



「友達になってとか初めて言われやした」


『!!』



…確かに、普通言わないよね
友達っていつの間にかなってるもんだよね

今更ながら恥ずかしくなって来た…



『えっと…緊張してつい…あははは…』


苦笑いする私を見て、少し笑った


「じゃあよろしくって事で」


『え…良いの!?』



「何か問題あるんですかィ?」



不思議そうな顔の沖田君に、ハッとして力の限り首を振る

沖田君と友達に…!

今までより、もっと色んな事喋ったりしても全然OKって事だよね!?

迷惑じゃないって事だよね!



『嬉しい…』



自然に出た言葉が沖田君に聞こえたかは分からない

けど、今鏡を見たら絶対に顔がニヤケてる私が居ると思う





「…そろそろ帰りやすか」


『そうだね』



z組の話とか色んな話をしていて、気付いたら7時を過ぎててびっくりした


意外に沖田君とも話が進んで色々聞けて楽しかった

今日は本当に良い日だ
あとで葵に連絡せねば!!





「…あれ、咲夜ちゃん?」


『…翔樹君!?』



会計の所で声を掛けられたと思ったら、なんとレジの人が翔樹君だった


「久し振り」


前と変わらず爽やかな笑顔に一瞬ときめく

…一瞬だけね?


『久し振りです』



前会ったのいつだっけ…?
忘れたけど本当に久し振りだ


まさか本当に会えるとは


「彼氏さん?」


隣にいる沖田君に気付いて聞いてきた



『えっ!…そう言う感じでは…』


彼氏じゃあ無いけど、好きな人って言うか…なんて言ったら…


「ただの友達でさァ」

「あ、そうなんだ」


迷う私とは反対に、何でもない様に言った沖田君


『……』



ただの、友達…

そうだよ、私が言ったんじゃん
友達になって下さいって


さっきまであんなに喜んでたのに、何で今は喜べないのさ


『(…変なの、)』




帰り道、途中まで送ってくれると言ってくれた沖田君と並んで帰る

嬉しいはずなのに、今は素直に喜べない



「ギリギリ会えて良かったねィ」


『…え?』


「会いたかったんだろ?」


『あ、うん』


そう言えばそんな話してたっけ

興味ないように見えて、ちゃんと見てくれてるんだな…

色々間違って伝わってるから意味無いけど


「普通に仲良いんじゃ無ェの?」


『まァそれなりに…かな』



葵のお兄ちゃんと知ってからの方が絡みが増えた翔樹君

失恋してから仲良くなったから、初めは辛かったけど
今はお兄ちゃん的存在で好きなんだよね



「月城は、あァ言うのがタイプなんだねェ」


『んー…そうなのかな?』


沖田君から話をフってくれて嬉しい筈なのに、さっきから何故かそんな気分じゃ無い

何となく翔樹君の話をしたく無い


『……』



本当に私はどうしたんだろう?



「…まァ俺の方がイケメンだけど」


『!!』


突然言った沖田君
顔を覗くと何となく目を逸らされた


自分で言っておいて…照れてる?
いや、やっぱり気のせいか

私相手に照れる筈無いか



『…ふふ、そーだね』



でも、何故か少し面白くて思わず笑ってしまった


 

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