#04 Resolution(10/15)
ほとばしる水音。
バスルーム全体が湯気でけむっている。
湯気に混じり薔薇の香りが微かに香る。
先程使った石鹸の香りだろう……
さくらは吐息を漏らした。
シャワーが滝のように湯を撒き散らし、
弾力のある肌に跳ね返る。
ここはヒューズの家らしい……
彼の計らいでシャワーを使わせてもらっている。
シャワーを止め目の前にある鏡を見た。
そこには確かに本郷さくらが居る。
確かめるように顔を触った。
シャワーのお陰で身に纏っていた不安も流されたかのように頭が冴えていた。
だが、温もりを感じることによって、
これが現実なのだと突きつけられてしまった……
「夢、じゃないんだね」
鏡に写ったのは安堵と共に落胆の表情が浮かんでいた。
頭の中で無数の想いが湧き起こり、涙と共に溢れ零れていく。
「泣くな!」
まっすぐ鏡の自分自身に言い放ち目を閉じた。
情けないなぁ。
本当に……
これじゃあ、彩芽に馬鹿にされるな。
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