「初めましてミセス名前。俺はチャールズ・フィップス」
「は、はじめまして……」
慌ててドレスの裾をゆっくり上げてお辞儀をする。
朝、グレイ伯爵に紹介したい人がいると言われゲストルームに行ってみると、背が高くグレイ伯爵と似たような白い服に身を包んだ男性がいた。
フィップスと名乗る彼はグレイ伯爵の同僚で、同じ女王秘書武官だそうだ。
「仕事があって結婚式には参加できなかったが、貴女のことはグレイから以前より伺っておりました」
「えっ!?」
(グレイ伯爵って普段、私のことなんて言ってるんだろ……?どーせ、田舎娘とか言ってるんでしょうけど!)
『ねー、それより今日の用件は何?まさか、名前を見にきただけじゃないよね』
名前とフィップスが話していると、グレイは機嫌の悪そうな声で話を遮った。
「お前も知っての通り、例のファントムハイヴ伯爵の件についてだ。監視役として、俺かお前かがファントムハイヴ家の晩餐会に参加しなければならないが……どうする?」
"監視役"……つまり、陛下のお仕置きとして
ジーメンス卿に手を下し、ファントムハイヴにその罪をなすりつける役割。
グレイは持っていたティーカップをテーブルの上において答えた。
『いいよ。ボクが行く』
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