悪友からの忠告










「なるほどねえ、そんなことがあったのか」

「そうなの…もう散々だったよ。清十郎くんにも怒られたし。」

「そりゃ怒るだろ、俺が進さんの立場なら同じこと言う。」

「…ですよね。」

「しかも金剛阿含を知らないって、あぁそうか。なまえはそういうの苦手だったっけか。」

「もう陸ってばそんなに冷たい目で見ないでよっ!」



あまりに冷ややかに見てくるもんだから思わず反論してしまった。
目の前の友達の陸は呆れた顔でため息をついてくる。

悪友みたいな関係だけどこうやって愚痴も聞いてくれるすごく良い友達で
けど時々こんな風に小出しにバカにしたりするのが難点でもある。



「でもホント男を簡単に信用してついてっちゃダメだぜ?」

「だ、だって金剛さんはそういう風には見えなかったんだもん。」

「馬鹿だなー、ああいうタイプは一番だましに来るんだよ。現に本性見たとき違うかっただろ?」

「うぅ…」

「なまえは女なんだからさ、もうちょっと危機感持つもんだぜ?」

「…うん。」

「よろしい。今日授業昼までに終わるけど俺は部活だから送ってやれねえけど一人で帰ったりするなよ?」



絶対友達捕まえて帰れ、なんて陸まで清十郎くんみたいなことを言い出す。
そんなにわたし心配されるほど子供じゃないのに…と思いながらも昨日の今日だしあまり軽率に考えないほうがいいよね。


と、その時は思ったんだけど
こんな日に限って委員会やら職員室の呼び出しやら
とんでもなく忙しい日で気づけばわたしはその忠告をすっかり忘れてしまっていた。








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