本当の姿










「高見さん、遅くなってすいません」

「遅かったな、進…ってどうしたんだ!ナマエちゃんまで!」



結局控え室までずっとこのままお姫様だっこ状態で運ばれてきてしまった。
開口一番に高見さんが驚くのも無理はない
そしてわたしの姿をみて高見さんが椅子を持ってきてくれて
そのまま清十郎くんがゆっくり座らせてくれた後淡々と先ほどの経緯を話してくれた。



「どうしてかはわかりませんが、金剛阿含と一緒にいました。」

「何だって阿含に?あ、それよりもナマエちゃんは怪我はなかったのか?」

「はい、ただ腰が抜けただけのようですが。」

「そうか…ナマエちゃん大丈夫だったか?」

「は、はい…ご心配かけました。」



そう返事をすると高見さんはにっこりと笑いそれはよかった、とだけ言ってくれた。
そしてわたしは当初の目的を思い出し清十郎くんに向き直った


「そうだ、はいこれお弁当。」

「あぁ、すまん。」

「そうか、進に弁当届けるためにわざわざ江ノ島まで来たんだ。」

「はい。そしたらあんなことになっちゃって。」



あまりに突然のことで自分でもなんだかわからない状態だったけど
そういえばさっきの口ぶりでは清十郎くんや高見さんは金剛さんのことを知っているみたいだった
この際だし、険しい顔の高見さんと清十郎くんに恐る恐る彼のことを聞いてみる



「あの…さっきの人って清十郎くん、知り合い?」

「知り合いもなにも、今日の対戦相手だ。」

「…へ?」

「ナマエちゃんはアメフトに詳しくないもんな。金剛阿含は神奈川にある神龍寺って男子校のアメフト部のエースだよ。」

「…じゃああの人も高校生なの?」

「見た目からは想像できないだろうけど進と同じ2年だよ。」



うっそー!あんな凄い頭でサングラスした見た目で清十郎くんと同い年?!
し、信じられない。全然高校生に見えないよ!



「金剛阿含はいわゆる天才って奴で俺らじゃ全然相手にならないぐらい強いんだよ。」

「そ、そうなんですか…。」



そんな凄い人だったんだ…一気に情報を詰め込みすぎたせいか顔が呆然となってしまう。
その様子を見た高見さんが苦笑いを浮かべてメガネを持ち上げる



「にしても進が迎えに行って正解だったな。何かある前で。」

「…え、それってどういう。」

「阿含は節操ないことでも結構有名でさ、危うくひどい目に遭うところだったね。」

「ひっ…そんな怖い人に道案内してもらってたんだ…」



そう考えると寒気がした。高見さんの言うとおり清十郎くんが来てくれてよかったよ…!
すると清十郎くんの顔がさっきよりも険しくなる



「…今何といった?道案内?」

「え?あ…うん。駅前で此処まで案内してもらったの、それで…って痛い痛い痛い!!!」

「し、進!落ち着け!ナマエちゃんが息してないぞ!」





素直に話したら清十郎くんに技をかけられました。








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