「え…」
「決まりみたいだね。精々頑張りなよ」
「何を言ってるんだ総司。手合わせの相手はお前だぞ」
「僕がですか?」
すっかり他人事だった総司は目を丸くする。
「お前がやった方が都合がいい」
「えー…めんどくさいなぁ…」
「まぁそう言うな総司。千歳、確か袴があっただろ?それを着て道場に来な
さい」
「あ、はい」
急展開に頭が回らず千歳は立ち上がり自室へと戻った。
「さてと、僕も準備してきますね」
「分かってると思うがちゃんと手加減するんだぞ」
「わかってますよ」
総司はそう告げて部屋を出ていった。
* * *
「思ったより重い…」
千歳は木刀を持ちじっくりと食い入るように見る。
「そろそろいいかな?」
源さんがそう言って道場の中心へ歩き総司と千歳の間に立った。
「僕は全然」
「はい」
二人の言葉を皮切りに道場がしんと静まり返った。
「始め!」
その空気の中、源さんの合図の声が凛と響く。