「……」
「……どうしたの、来ないの?」
様子を伺うため動きを止めていた千歳に挑発するように総司はにたっと笑う
。
「……総司こそ」
「んー早く終わらせたいからいくよ…っ!」
言葉を終わらせるより早く総司の体は鋭く動いた。
そして勢いよく千歳に打ち込む。
「く…っ!」
必死な思いで千歳はそれを受け止めた。
「一応受け止められるんだね」
「…っ…」
受け止めるのが精一杯な千歳は話すことさえ出来ない。
総司は打ち込みを連続で打ち始める。
三回目の打ち込みまでは辛うじて耐える事が出来たがそれ以降は体で受け止める
事しか出来なかった。
「っ痛」
千歳の体にはみるみるうちに傷付いていく。
「そこまで!」
流石に危ないと思ったのか源さんは試合を止めた。
「っハァハァ…」
千歳はその場に座り込み息を整えた。
「大丈夫?」
総司は近寄り千歳の顔を覗き込む。
「大丈夫」
「…………近藤さん、稽古つけてあげてもいいと思いますよ」
「そうだな」
総司の一言に勇は同意する。
「でも私負け…」
「僕の木刀、受け止めたでしょう?ここに通う道場で僕の受け止められる人いな
いから」
「え…」
まさかの結果に千歳は絶句した。
「とりあえず詳しい事は後だ。今は傷の手当てをしよう」
「はい」
千歳は勇に支えられながら道場を後にした。
⇒手合せ 完
20110220