憂国騎士団
神経質な音と防犯システムのランプが点滅した。
ユリアンがモニターTVをつけると、白い頭巾をかぶり両目だけ出した集団がいた。
「憂国騎士団だ。」
「そんなサーカス団知らないな」
ユリアンの説明に二人は話をそらそうとした。二人には反戦、反国家的な言動に身に覚えがあった。
「奴らは何人いる?」
ユリアンはモニター画面の隅の数字を読み上げた。カーチャルは数に唖然とした。せいぜい三十程度と考えていた。
ヤンとユリアンが憂国騎士団の話を聞いている間にカーチャルは呟いた。
「あー面倒だな。」
「まさかお二人ともそんなことなさったんですか、准将」
ヤンがカーチャルのぶんまで答えた。ユリアンはかなり文句を言ったがカーチャルは平然とした顔で見ていた。
ユリアンはカーチャルが片手にレーザーナイフを握っているのを見て制した。
「いくら腹がたっても武器を使っちゃいけませんよ」
「・・・」
そのとき、特殊ガラスを割り、頭サイズの球体が飛び込んできた。
擲弾筒に小規模家屋破壊弾を撃ち込んできたのだ。
カーチャルはユリアンに被さり攻撃から守った。
「ユリアン、散水器のスイッチはどれだ」
「2のAの4です。応戦なさるんですか?」
「当然だな。ヤン、しつけてやれ。」
屋外からの声が悲鳴に変わった。
ヤンが独語をこぼすと、治安警察のサイレンが聴こえた。
なるほど、憂国騎士団は背後にトリューニヒトがいるらしい。
ヤンがやって来た警官に憂国騎士団について論破している間にカーチャルは、ユリアンの片付けの手伝いをした。
「ありゃ、ヤンは面倒な奴だな。」
「あなたには言われたくないと思いますよ。ヤン准将と考え方が似てます」
「頭は良くないがな。」