私的な会議

カーチャルとしては今までの行動が正解だったと思う。帝国にいたことはともかく、血筋、役職を知られるのはまずかった。
工作員だと知れたらスパイ容疑は免れないだろう。
しかし、今ではどうでもよかった。
ハイネセンに来て、せめてヤンと同じ部屋に入れてくれれば退屈せずに済んだのに。
カーチャルは今の状態を軟禁以外に言いようがないと嘆いた。
マスコミは動かないだろうし、市民は怖くて動かない。これは帝国と何が違うのか、わからないものだ。
女帝には似合わない部屋で呼び出しまで寝るしかなかった。  

呼び出しをされたカーチャルはこのままやめてやろうかと頭を掠めた。
しかし、ヤンの護衛を任されている上、迷惑をかけたいとは思わなかった。
命令違反が多々ある女帝の妙に律儀な場面が出た。
査問会ははじめにカーチャルの経歴を話し始めたが、自分以上に詳しく話すので感心する。
もっとカーチャルは同盟に来てからの自分の経歴など知らないが。
問題視されたのは帝国でのデータ不足だったが、メインにいくまでに時間もないためスルーされた。
メインはハイネセン記念スタジアムでの話だった。

「市民に武器を向けたのはあちらだ。
しかも命令を出すあなた方が救国軍事会議などにクーデターでやられ、我々の意志に乱れが起きるのは仕方がないではありませんか。」
「しかしながら、国を守るべき軍人が軍人を手にかけてどうする。
しかも本来ならイゼルローンにいるべきあなたが!」
「私がハイネセンにいようが自由です。私は同盟側の人間です。移動の自由はあるでしょうに。
それに市民を守り帝国を倒す軍人が市民を倒したのです。仕方がない話では?
まさか帝国のように市民を見捨てる気ですか。素晴らしいですね。」
「その市民が国の意志に背いたのだ。」
「おやおや、民主主義は人民が国家の主権をにぎり自らのためにその権力を行使する政治ではありませんか」

カーチャルはやってられるか、と投げ出そうと考えたが利益を考えてやめた。
これでやめたら、ヤンが求める年金、退職金すら貰えなさそうだ。
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