言動の矛盾

二人は同時にため息をつき、うけとった命令について考える。
ただ、女帝の方は考えるより納得しかできなかった。
この二人、ヤンとカーチャルは査問会なる代物に呼び出されたのだ。
カーチャルは査問会どころか軍法会議に出される心当たりがあるため、無視はできない。ただ査問会は同盟憲章にも、同盟軍基本法にも規定がない。
いわば法的根拠をもたないのだ。

「ヤン、行ったさきで奴らを刺激しないでくれよ?査問会を二人同時にはやらないだろうから交代制だろう。奴らの機嫌を損ねられると俺も被害者に」
「それはこちらもいえる話だよ。君は私より口が悪いからね」
「知っている言葉が多いと色んな組み合わせが出来て便利ですが」

二人はくだらない言い合いをしているが、やっている本人たちはかなり真面目である。
カーチャルは査問会より軍法会議にかけられた方がマシだなと首を捻る。査問会は法的根拠がないなら、こちらが法で手を出せるか分からないということだ。自分には悪い点があるが、ヤンは違う。
お偉いさんの私的会議に参加して暗殺された例は歴史ではいくつかある。
まぁ二人の査問会を同時にやるなら、暗殺なんて出来やしないが。
それにヤンを暗殺するメリットはない。カーチャルなら殺される理由はないわけではない。
それにしても誰がこんな真似を考えたのやらと女帝は感心した。

「ヤン、この間に帝国が動かないように祈ろう。今はまだイゼルローンが最前線になるからな」

ヤンも同感し頷いた。
カーチャルはもし帝国にヤンがイゼルローン不在と知られていたらと考えたが、どうにもならないことを考えることはやめた。
なったら仕方がないだけなのだから。
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