マーティルダ最後の血筋
マーティルダ伯のご嬢令は目の前にある課題を眠りにつかせられないかと、格闘することをやっと諦めていた。
ご嬢令と言っても、マーティルダ家最後の血筋となり、全てを決めるべき立場に立っている。
課題を眠りにつかせるには解決させるしかなかった。
マーティルダ家の運命と銀河帝国は彼女にはどうでも良かった。
しかし、ゴールデンバウム王朝が滅びたら、彼女の他にここに仕える召使いはどうなるだろう。
タダで済むはずがない。無職には必ずなってしまう。
ご嬢令は自分の考えに結論をつけ、出掛ける準備始めた。
初経験になる長旅ではあるが彼女は楽しんでいた。
結果がどう転んでも彼女は外出を楽しむ気でいたのだ。

ご嬢令は首都星オーディンに到着した。
初めて見る景色に興奮することはできなかった。
実は彼女には学がなく、目的の人物がどこにいるか、ピンと来ていなかったのだ。
「偉い人は首都にいる」という感覚からオーディンに来ただけのことである。
目的の人物がどんな地位かは知っていたため、ギリギリ目的地を決めることは出来た。
次にわからないのは元帥府までの道のりであった。

「んー、宇宙港から歩き?いや、距離わかんないし。あ、車か。」

ご嬢令はやっとロボット・カーという選択肢に辿り着いた。
その間は気分を高揚させることが出来た。
その後、ご嬢令を困らせたのは若い士官だった。
見ての通り、このご嬢令が予約をしているとは到底見えない。

「面会のご予約はございますか、お嬢ちゃん」
「私はこれでも二十過ぎていますが見てわかりませんか!!」

士官はご嬢令を見返した。
小さい背に童顔な顔。
何よりも大人と感じさせないオーラが強かった。
実際、大人より子どもがよく似合うご嬢令ではあった。
しかもご嬢令は貴族には見えない軽装をしていた。可愛い町娘には見えたかもしれない。

「で、面会のご予約はしてません。待てと言われれば、この場でずーと待ち続けられるもの。安心して。ホテルに泊まるの面倒だから、野宿かしら。」

脅しと言うより、後半はご嬢令の独り言に値する。
ホテルに泊まることを本気で面倒に感じている上、貴族らしい振るまいをする気はほとんどない。
士官はさすがに困るとして、数ヵ所に連絡を入れた。

「お会いになるそうです。」
「ありがとう、いってきます。」

ご嬢令は変わった挨拶をしてからその場をあとにした。

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