マーティルダ最後の血筋
マーティルダ伯のご嬢令より先にヒルダが訪問していたため、ラインハルトには訪問理由をそれなりに理解しているつもりでいた。
マーティルダ伯のご嬢令訪問の知らせをラインハルトはオーベルシュタインとともに聞いた。
オーベルシュタインはマーティルダ家について、あまりよくない噂を耳にしていたのでラインハルトに告げる。

「お会いになるのはよろしいですが、マーティルダ家のご嬢令は変わり者だそうで、あまり期待しない方がよろしいかと・・・」
「ほう・・・?どういった変わり者だか、会わないことには分からぬ。注意深く見るとするか」

オーベルシュタインはマーティルダ伯のご嬢令に期待はまったくしていなかった。
当の本人は知る様子もなく、応接室のソファーに座り、コーヒーを混ぜ、遊んでいた。

「あ、はじめまして。ヒニアス・フォン・マーティルダです。」

型通りの挨拶では当然ない。
ラインハルトはご嬢令の挨拶に多少驚かされた。
変わり者と言うより学がないように見えた。
大抵の者は「お会いできて光栄です」、「お忙しいところ恐れ入ります」と言うものである。
ラインハルトはこの挨拶を嫌がりはしなかった。
はじめまして、は間違いではない。
むしろ正しい。

「何用かな、レディ」
「私は二十過ぎです。・・・えーとラインハルト様にお味方します。」

彼女は大事な点が抜けていることに気づかぬまま、一人せわしなく天井を見上げていた。
台詞を考えてくるなどと言うことに頭がまわらない彼女は、自分なりに言葉を選びながら喋る。

「ほら、即席のサッカーチームよりいつもがんばるサッカーチームの方が一致団結してるから?」

彼女の言いたいことをラインハルトは理解した。
貴族で戦争経験がないものの集まりより、戦争経験のある軍の方が強いと言いたいのだ。
ラインハルトは確かに変わり者だ、と思わざるおえない。
彼女は学より経験をそのまま使うタイプである。
だからこのような変な例えで、今回の課題に結論を彼女なりに、つけてみせたのだ。

「その争いとは何の話だと?」
「え、貴族の皆がよく話してるよ。ブラウンシュヴァイク公とラインハルト様の話。」

ラインハルトは彼女は考えるより感じる派だと理解した。
それを理解した上で話を進める必要が彼にはあった。

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