愛しい師匠 | ナノ


▼ 10.卒業アルバム

風間は掃除中にあるものを見つけた。
高校の卒業アルバムというやつだ。
懐かしいものだが、掃除中というためにすぐにしまう気でいた。
風間は卒業アルバムを落とした。
ちょうど開かれたページは文化祭の写真だった。
メイド服で笑う少女。懐かしいものだ。
第一次大規模侵攻の1日前に遡る。

登校した風間が一番始めに見たのは、下駄箱で立ち止まる如月だった。
下駄箱の中にはラブレターがある。いつものことだ。
ラブレターを真剣に眺めていて、風間の存在に気づかない如月に、話しかけた。

「何をしている」
「あ、おはよう蒼也。
みてみて果たし状。ふざけてんのかね」

ふざけてるのはお前だ、と言いたいがいつものことだ。
ラブレターという選択肢が頭にないらしい。
169の身長に長い髪、おまけに頭がいいためモテるのだが、自覚していない。
まず今時『果たし状』はないだろう。
何枚のラブレターを果たし状と思ったのか、考えたくない。

「ホームルームが始まる。いくぞ」
「あ、うん。
そういえば蒼也、今日暇?買い物に付き合ってよ」
「買い物?
あぁ・・・・・・わかった」

一時恋人関係を噂されたが、如月が「自分より大きい人がいい」と言ってから噂がなくなった。
笑みを浮かべて喜ぶ如月。
この日は毎回買い物に付き合わされる。明日が弟の誕生日らしく、プレゼント選びに付き合う。
毎回如月のセンスの悪さに振り回されていた。
不登校になった弟を如月は可愛がっていた。当時中学生。優秀な姉と比べた弟は、勉強に嫌気がさし、学校に行くのをやめ、家族とすら会話をしない。
姉と弟を比べ始めたのは、家族がはじめだったからだ。弟の体調を気にする如月は、よく弟を家から追い出して太陽の光を浴びさせていた。
骨の成長に日光は必要不可欠だ。

「ペンギンのケーキなんてどうかな?」
「まっ二つにする気か?」
「・・・・・・うん、無理」
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