愛しい師匠 | ナノ


▼ 09.中学生の体育大会

保護者の競技を一位で走り切った如月は、大層疲れた顔をしていた。
まさか風間と勝負するはめになるとは、考えなかったからだ。
最後まで見届けずに如月は学校から離れた。
メモのおかげか、バットで倒れずに障害物競争を終えた菊地原は、如月がいないことがつまらなかったらしく、歌川に愚痴る。
体育大会は無事に終わり、菊地原は風間におごれと要求しながら、帰り道を歩いていた。
菊地原が両手で如月からのお弁当箱を抱き抱えていた。歌川が食べても菊地原に影響がないぐらい、でかかった。
そして、美味しかった。

「歌川がお弁当勝手に食べたからいけないんだ。
だからラーメン食べたい」
「宇佐美がファミレスに行きたいらしい。」
「えぇ〜ラーメン食べたい」

菊地原は我が儘を言ったと思えば、急に顔つきを変えた。
一気に不機嫌になっている。何か嫌なことを耳にしたようだ。
しかも、歩みが遅くなる。嫌な原因が前から来るらしい。
風間と歌川は前をよーくみつめた。何が来るのか、好奇心にかられた。
女の人と男の人が歩いてくる。遠すぎて誰だかわからない。
菊地原はさらに機嫌を悪くして、もと来た道をはや歩きで進み出す。

「あっちにおいしいピザ屋さんがあるんですけど、風間さんのおごりで」
「どうしたんだ、菊地原は」

二人は仕方がなく菊地原の後を歩いた。
不安にかられた歌川は後ろを振り返り、歩いている二人の男女を見た。
気づいてしまった歌川は、慌てて前を向いた。
そこには、男の人と手を繋ぐ如月の姿があった。
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