愛しい師匠 | ナノ


▼ 10.卒業アルバム

豹柄のカバン。真っ黒のタイツ。
センスより何かを疑いたくなる。
かれこれ二時間。
選びに選び抜いた末に、下着を持ち出してきた。
面倒になった風間はそのまま買わせてしまった。
プレゼントを手に帰宅した如月は、毎日のような腹立たしい光景を耳にする。
両親の会話だ。
「できの悪い弟」と聞こえた如月は、わざと足音を立てて、挨拶もせずに通りすぎた。
弟の部屋をノックなしに入る。
散らかっている訳でもなく、アブナイ感じでもない部屋。パソコンが一台あり、改造していたらしい。

「あ、姉さん。ノックしてよ。
不法侵入だよ、不法侵入。」
「家族に不法侵入があるわけないじゃん。
じゃあ私の部屋に来ないでよね?
ほら、誕生日プレゼント」
「頼んでないよ。
・・・・・・なんで下着?」

弟はぶつぶつ言いながら、下着を放り投げた。
さすがに不味いセンスだったと気づいた如月は、買い直すと頭を下げた。

「別にいいよ。面倒。
それより、風間兄弟は元気?」
「うん、元気じゃん?
蒼也が学校一緒だけど、兄は知らん。
多分元気だよ」
「じゃあ大丈夫だね」

何が?と口にするがあしらわれた。
如月は夕飯を食べるために部屋をあとにした。
家族はしんみりしたまま、何も言わずに食事をしている。つまらないと感じた如月は、夕飯を持ち出して弟に会おうとした。

「お前、成績はどうなんだ」
「・・・・・・何よ、父さん。
私の成績より気にすべきものがあるでしょ?
まさか、わからないの?」
「社会を拒絶した者など、どうでもいい。」
「はあ?」

社会を拒絶したのではない。
自分を拒絶した弟だ。その拒絶させたのは誰か。両親。そして如月可憐だ。
すぐに助けてやれなかった如月は原因に入ると考えていた。
両親は根元過ぎて腹立たしい。
如月はなるべく無視をしてその場から去った。
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