慣性の法則

頭脳明晰、成績優秀、容姿端麗、才色兼備、魔法薬学教授の娘、蛇寮の姫君。他寮生からの私の評価は、こんな感じらしい。美人で綺麗なリリーとイケメンジェームズが両親なのだから容姿端麗は事実にしても、頭脳明晰やら成績優秀はどうかと思う。冷静に考えてみて?私の場合、ヴォルの英才教育ことプライベートレッスンを受けて来たから、高校生が小学一年生の問題を解いて満点を取ってる様な状況なんだよ実は。賢いも何もあったもんじゃないのです。本物の頭脳明晰、成績優秀、才色兼備はハーマイオニーにこそ相応しいのさ。

随分と過大評価がされてるね、とパンジーに素直な感想を述べたら何でそんな他人事みたいな顔してるのよ、と怒られた。



「そんなんじゃ獅子寮に舐められるわよ?」

『いや、別に舐められるも何も…』



実際に、獅子寮生からの評価には、これらには全て嘲りが含まれる。ドラコが自分は高貴な純血の名家の人間だと鼻に掛ける様に。全てはスネイプの娘だから、周りから特別扱いされてチヤホヤ祭り上げられているだけなんだと。実際の実力は伴わないと。言葉とは裏腹な評価だ。

確かに蛇寮の姫君は恥ずかしいので私もやめて欲しいです。どこの痛い逆ハー狙いの勘違い夢主だよ!?あ、私か!!しかも恥ずかしいとか言いながら実は満更でもないなって思っちゃってるからな。はいダウト!

でも、そんな肩書きがあるからこそ、パンジーやドラコには気に入られてるみたいなんだけどね。だって、肩書きがなければこんな面倒くて癖のある変な奴に絡んでこないだろ普通?寮監の娘と親しいってのは、品格を上げるステータスにはなるのだろう。この辺が実に蛇寮らしいよね。対照的に、獅子寮からは評判が悪いのが良い例かもしれない。

あぁ。気付けばまたドラコとロン達が喧嘩をしてるし。ちょっと目を離すと彼等は直ぐにこうだ。ロンから目の敵にされてる私にもあまり言えた事じゃないけどね。



「口利いちゃ駄目だよ!馬鹿が移る」

「残念だったな!馬鹿って言う奴が馬鹿なんだよ」

「全く、馬鹿の相手を真面目にするなんて同レベルかよ」

「は?誰がいつ何時何分何秒に真面目に相手なんかしたかよ」



前世小学生だった頃に、そんな事を口喧嘩で意地になって真剣に言い合ってた記憶がある。今思い返せば、幼稚な事この上ない。しかし、今の私の同級生であるドラコやハリー達は、正にそんな言い合いを本気でする年頃なのだ。…11歳だから正直ちょっと幼稚過ぎる気がしないでもないが、まあ比較的それが普通で正常な反応であり、むしろ私の反応が年(身体年齢)相応じゃないだけだ。

で、そんな子供達の相手を真面目に四六時中してると本当に疲れる訳で。精神年齢が合わないのは本当に疲れる。ヴォルがいるのがせめてもの救いか…まぁ、厳密に言うとヴォルの年齢って十分おじいちゃんなんだけど。だから逆にヴォルが私の相手をするのはやはり疲れる事もしばしばあるだろう。純粋で自分本意な子供じゃないけど、自分本意な大人だし。あれ?何か後者の方が遥かに面倒臭いな。



『……って、今何かこっちに呪いが飛んで来たんだけど』

「(完全なる流れ玉だな)」



私のすぐ隣で閃光が壁に直撃し、霧散した。気付けばロンとドラコが呪いの撃ち合いを始めていたという。傍観を決め込んでいた此方にも被害が被るとは何事だ。直撃したら締め上げるぞごらぁ。



『おーい二人とも、あんまり騒ぐと先生に見つかって減点され…』

「「お前/リクは黙ってろ!」」

『随分と仲が良いじゃねぇかテメェら』



呼び寄せ呪文でさっき通り過ぎて行ったフリットウィック先生を引き戻してやろうか?あいつ軽いから一瞬で飛んでくるぞ?何なら死臭漂うクィレルのターバンを呼び寄せてやろうか?こんにちは我が君の御開張だぜ?ん?

やめろよ?絶対にやるなよ?と、焦ったヴォルの声。杖を取り出して、笑顔で掌にピタピタと当ててたら、ドラコとロナルドの表情から血の気が引いた。二人仲良くようやく今し方の失言に気付いたらしい。てか、異様に脅えられてる気がするのは気のせいかな、かな?



「き、今日の所はこの辺にしておいてあげよう、ウィーズリー。僕は君と違って暇じゃ無いんでね」

「ハッ、負け犬の遠吠えかよ。ま、僕の方もこれで引いてやるよ」

『で、他に言う事は?』

「「すみませんでしたっ!!」」



実は双子並に息ピッタリで仲良いんじゃないのこの二人?

思わずため息をついてしまいそうになったのを堪えながら、リクは杖をしまった。…こうして彼等と関わったり仲良くしてるせいか、何だかんだで厄介事に巻き込まれるフラグを立てて来てるよなぁ…とは思う。決闘の件しかり、トロールの件しかり。出来れば傍観してるのが一番楽だとは分かっているけど、やはりこの世界を堪能するなら巻き込まれなきゃ損だろ。という理由からある程度は色々と首を突っ込んで行っている。実際に、その方が楽しいんだよね。

ただ、それを何処まで許すか、何処まで首を突っ込むかは……図り兼ねていたりもするんだけど。

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タイトルは感性の法則とかけてます。つまり遊んでるだけです。

 

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