英雄クエスト
はいはーい皆様こーんにーちわぁ!蛇寮一年生のリク・スネイプです。何故にハリー達と一緒の寮じゃないんだよぉおおおと例によって例の如く最初の頃は嘆いてたけど、最近はスリザリンも悪くないなと思ってたり。ドラコ可愛いよそのデコが。逆に他の蛇寮生からは何故コイツが獅子寮じゃないのかと首を捻られたり誇り高き蛇寮の汚点だと嘆かれてたりするとかしないとか。スリザリンの異端児?そんなカッコいい呼ばれ方はしていないぜ。
「(中身は馬鹿な変態だしな)」
『(失礼な!否定はしないけど)』
「(だが、高度な闇の魔術の使い手だと、一目置かれてる一面もある様だぞ。俺が教えてやったんだから当然だがな)」
め、珍しくヴォルに褒められた。今なら空だって飛べそうな気分だ。いや、普通に飛べるけど。
あのハロウィンの一件から、噂に変な尾ビレが付いてる様で、あのトロールを闇の魔術で私が倒してハリーを助けたとか、ハリーに嗾けられたトロールを闇の魔術で返り討ちにしたとか。噂の元手は蛇寮なのに、気付けば他の寮にもこんな噂が広まってきてるみたいです。誰だこんなデマを流した奴。お前かフォイフォイ。そして何故に闇の魔術と限定されているんだ。あながち間違った話じゃないから笑えないんだよ。
クィレルに目を付けられたら面倒な事この上ないじゃないか。そんなに私にオブリビエイトを使って欲しいのか。
『この前はごめんね。せっかくお茶に誘ってくれたのに、行けなくて』
「気にせんでええ。学生も忙しいからな」
で、本日はハグリットの小屋に来ております。本当はハリー達とも一緒に来たかったんだけど来れなかったしねー。獅子と蛇の話参照。…という話をすると、ハグリッドは悲しそうな顔をした。
「せっかくハリーと仲が良いのに、お前さんは獅子寮には入らんかったからなあ…」
『セブと同じ蛇寮だったからね』
リリーもジェームズも獅子寮だったし、ハリーも獅子寮に入ったのに、お前さんだけ……
と感慨深く呟いた後、ハッと我に返ったハグリットは不自然にドモりながら「ま、まあスネイプ教授と一緒で良かったな!」と誤魔化そうとしていた。おいおい…
まぁ、シリウスみたいな例もあるから、有り得ない話ではないんだけどね。それに、ハリー自身も蛇寮と獅子寮とどっちが良いかって二つ選択肢があった位だし。
それにしても……最初、ハーマイオニーを誘って一緒に来ようかな〜とも考えてたけど…これは一人で来て正解だったかもしれない。
「ハリー達はこの前来た時にフラッフィーの事は知っているし石の事は聞いてくるしで大変だったが、リクは優等生だから俺も安心できるな」
『そ、そう…?』
思わず貼り付けた笑みが引きつりそうになる。ハグリット…君はどれだけ口を滑らせるんだ。しかも今言っちゃいけない事を言った自覚もないとは。ダンブルドアも教えるなよ…と思う半面、ハリー達のヒントになるように、ワザとハグリットに石の事を教えたりあろう事か銀行から石を運ぶのを頼んだりしたんだろうけど。全てはハグリットがハリー達に口を滑らせるのを前提に。本当に隠したい事は、誰にも言わない人だ。本当、とんだ狸爺だ。
…という事はだ。ハグリッドが私の出生の秘密を知っているという事は、いずれはハリーと私に互いの血縁関係を気付かせるつもりでいるという事。あの狸が本気で隠し通す気でいたなら、ハグリッドに忘却呪文を使っていただろう。何だかなー…と、色々思う所はあるけれど、取り敢えず今はまだ保留にしておこうと思う。別に今から悩む様な事でもないし、その時が来たらでいいや。
ロックケーキのあまりの固さに、取り敢えず魔法で通常のクッキー並の固さにまで変えてみた。食べてみたら意外と美味しかったという。これならケーキ並みに柔らかくして生クリームを添えても美味しそうだ。お土産に貰った分で今度やってみよう。