強さを求めて(2/5) その後、イオンはアリエッタを呼び出し、何かをメモした紙を渡して彼女が執務室を出て行ってから数分後……アリエッタは何かを抱えて再び戻って来た。 「はい、です」 『?此れは…?』 「そのままの格好じゃ動きにくいからね。それに着替えなよ」 紙袋の中から中身を取り出す。これは……導師守護役の制服?と、もう一つは仮面…というかバイザーか。 服のデザインはアニスとそう変わらない様子。改造してない、基本型なのだろう。 取り敢えず着替えてみなよ、とイオンに促され、執務室の隣にある部屋(ちなみにイオンの私室)を借りた。服のサイズは、問題なく着れた。ちょうど良い位かな。 『着替えたよ』 「サク、アリエッタとお揃い…です!」 『そうだね。お揃いだね〜』 執務室に戻るなり、嬉しそうな笑みを浮かべるアリエッタは本当に可愛いと思う。素直で良い子だ。 「其れを着ければ素顔も分からないから安心でしょ」 『身分は隠すの?』 「隠さないと指導しにくいでしょ。相手が」 イオンが誰かに気を遣うなんて珍しい……否、珍しいのかどうかなんて知らないけど。イメージ的にね。 バイザーを着けると、流石に違和感があったけど……慣れるまでは仕方ない。 と、ちょうど執務室の扉がノックされた。イオンが中に入るよう促し、その場に現れた人物を見るなり、思わず目を丸くする。この人って、確か…… 「紹介するよ。彼女の名前はユリア。最近導師守護役になった子だけど、訳ありでまともに戦闘訓練を受けた経験が無くてね。彼女に戦闘の手解きをしてあげて欲しいんだ」 「…分かりました」 え、何気に即答?ていうか何その設定……って口を挟む間も無く、本人を放置して話が進んでいった。 その為にわざわざ導師守護役の衣装を用意したのか…… 「レネス・カンタビレだ。第六師団師団長を任されている」 『ユリアです。よろしくお願いします』 紹介され、彼女に頭を下げる。 イオンの口振りから察するに、二人はわりと親しい様子。設定では強固な導師派ってなってたけど……実際はそうでもなさそうな感じだ。なんとなく。 *前 | 戻 | 次#
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