導師イオン(2/5)

ふかふかで気持ちが良い。質感的にシルクかな?何でも良いけど、肌触りとか色々と上質なベッドだ。

…あれ?私何か手に持ってる……携帯にしては、ちょっと柔らかな感触。……まあ、何でも良いや。

それよりも今は目蓋が異様〜に重くて、しかも意識が今直ぐにでも旅立ってしまいそうな位、眠い。えっと…今日って平日?休日?平日だったら遅刻しちゃうよね……けど、起きれないし…



「ねぇ」



何だよ満彦…あれ、光彦だっけ?もうわかんないからピカチュウで良いや。で、何?さっきの夢の続き?



「ちょっと、起きなよ」



無理。今超が付く程眠いから無理。



「………」

ゴインッ

『あでっ!?』



瞬間、後頭部に衝撃が走った。分厚い本で強打された模様。人が気持ち良く微睡んでいるというのになんて酷い仕打ち!一体誰だ!?



「もう一発食らっとく?」

『違う意味で意識が飛ぶわっつ!……て、はぁ!?』



ガバッ、とベッドから勢い良く飛び起きた所で、私の目の前にいる人物を見るなり思考は一時停止。

え?緑の髪に緑の瞳の可愛らしいお顔のこの方は……テレビの画面越しになら見た事ある顔な訳で。



『嘘っ!?イ―――…むぐ、』

「馬鹿。騒ぐと死ぬよ?」



イオン!?って思わず叫びそうになったら、素早くイオンに口を塞がれた。取り敢えず、イオンの笑顔が黒かったりして焦ってコクコクと何度も頷いたら漸く手を離された。



『え?ていうか夢じゃなかったの!!?』

「(僕と同じ事言ってるし…)」



イオンがそんな事を思ってるとは知らずに、サクは記憶をたどり始める。

え〜っと?学校帰りにいつもの電車に乗っててうたた寝しながら久しぶりに譜歌を聞いてて……そこから記憶が途切れてるから、多分…いつの間にか寝ちゃったんだろうね。それから………そうそう、それで何か被験者イオンの夢を見たんだ。

んで、せっかく夢で会話をしてるんだから、ここぞと秤に言いたい事を言ってやったんだ。アビスをやってて思った事とか、色々。

そしたら、それは……



『夢じゃ、なかった……って事?』



いやいや、今からでも夢オチの線は十分有り得る!あ、けどどうせ夢なら勿体ないからもうちょい見たい気も……いやいやいや、でもさっきのは本当に頭が痛かったよ!?夢じゃ無くない!!?



「……いい加減人を無視するの止めて貰えるかな?」

『すみませんでした!』



ニッコリと可愛らしい笑顔で先程の凶器……基、分厚い本が私の頭上に振り翳されているのを見て、私は即座にイオンに謝った。



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