ライガクイーン(4/6)

ライガクイーンの咆哮が、辺りに響き渡る。落ちてくる雷を避けながら、クイーンとの間合いをサクは一気に詰めていく。

前足を振り上げ、踏みつけようとしてくるライガクイーンの攻撃を真横に飛んで避け、サクはクイーンに音叉を向けた。



『フォトン!』



私が扱う譜術は、FOF変換の手間を省いたFOF技を即発動させたり、詠唱破棄や無詠唱なども多い事から、相手の間合いに入ったほぼ零距離で速攻譜術を撃ち込む事が多い。打撃戦も出来るけど、攻撃スタイルは此方が主流だ。


「砕氷刃!」


サクと入れ代わりにライガクイーンへと一歩踏み出したフレイルが、冷気を纏った交差斬りを繰り出す。

フレイルの武器は、刀剣。カンタビレ直々に鍛え上げられた彼の得意技は、抜刀術。以前は使えなかった譜術も、今では剣術と併用可能に迄なっている。この二年でかなりの成長だ。


「無理して前衛に行かないでよ。サポートする僕らの身にもなって欲しいね……キュア!」

『あ、有り難うクロノ!』


クロノもサポート系の譜術や攻撃系の譜術を容赦なく繰り出す。かつては病弱だったのに……今では病を見る影もない。

しかも、彼は戦闘に慣れていない筈なのに、サポートのタイミングがバッチリなのが逆に恐い。さっき私が微妙にクイーンの爪で負傷したのもよく見てるし……。

そして、アリエッタはクロノの指示の下、現在譜術を詠唱中のようで……


「歪められし扉よ開け。ネガティブゲイト!」

「その調子だよアリエッタ。…フリジットコフィン!」


本当に息までピッタリだなオイ。

何気に二人でFOFまで変換させてさ。アリエッタはクロノと一緒だから張り切ってるし、クロノはクロノで思う存分暴れられて機嫌良いし。ねぇ、相手はアリエッタのママなんだよ?


「ガアァッ!」

「サク様っ!」

『…っと、危ない。有り難うフレイル!』


とはいえ、相手はライガクイーン。いくらアリエッタのママだからといって手加減出来る相手ではない。ライガクイーンの咆哮と共に放たれた雷をギリギリ避けながら、サクは内心冷や汗を流す。


「いきますよ、抜刀・旋狼牙!」

『了解!ミラクルハンマー!』


フレイルの抜刀の一撃に続き、彼が繰り出す斬撃により生み出された無数の真空の輪が、クイーンを拘束する。その隙にサクがクイーンの上空へと飛び込み、凝縮させた音素を音叉に乗せて振りかざし、譜術を叩き込む。最後にフレイルが、怯んだクイーンを左方へ蹴り飛ばした。

うん、アリエッタやクロノのコンビネーションに負けず劣らず良い感じだ!余裕があったらハイタッチを交わす勢いだね。

とまぁ、大体こんな感じに何とかライガクイーンと交戦中である。フレイルは前衛、アリエッタとクロノは後衛、私は主に前衛〜中距離支援。流石に精鋭メンバーなだけはあり、ライガクイーンを相手取った戦況は、此方がわりと善戦している様子。

ライガクイーン対複数という事もあり、此方が微妙に手加減してるのもあるけど……


「サクとフレイル、スゴい…です」

「僕らも負けてられないね。アレいこうか、アリエッタ」

「!はいです!!」


クロノの楽しそうな笑顔に、アリエッタも嬉しそうに微笑む。ていうか、アレって何?私何も聞いてないんだけど。


「本気…出しちゃうんだから!」


え、本気出すの?って事は……アリエッタ、それはまさかの秘奥義ですか!?


「天光満つる処我はあり、黄泉の門開く処に汝あり、出でよッ!神の雷!」


クロノ待てぇえええ!それはもっと駄目だぁあああ!

いくら相手が繁殖期で凶暴化してるとはいえ、二人同時に秘奥義を使うなんてもっての他!しかも技的に攻撃範囲が広すぎる上に、威力も半端ない!特にクロノが!!!


『ちょっ、二人共待……!』

「終わりっ!イービルライト!」

「くらいなよ。インディグネイション!」

カッ


ライガクイーンの頭上に2つの譜陣が展開され、譜陣から光の柱が上がる寸前。サクは咄嗟に両者の間に飛び込んだ。



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