隠された真実(6/15)


「ここが俺の発見された場所……?ボロボロじゃん」



コーラル城を見上げ、ルークが呟いた。ファブレ公爵家の別荘は、城と呼ぶには小さな、どちらかというと砦という方が相応しい造りの建物だった。

外壁は蔦が這い、窓の多くは汚れて曇り、あるものは割れている。庭と呼ぶには荒れ果てた感じの周囲には、無秩序に木々が美味しげっている。

なんとも不気味な雰囲気が漂う洋館。これは"出て"もおかしくないな……って、ソードダンサーが出るんだっけ。ここ。



『なんか出そうだね…ティア』

「!だ、大丈夫です!絶対に何も出ないわ!!」



ビクリと、あからさまに肩をびくつかせたティアに思わず苦笑する。微妙にさっきから挙動不審になってるんだよね、ティア。内心かなり怯えてるっぽいし。……反応が可愛い。



「どうだ?何か思い出さないか?」



誘拐された時の事とか、と話すガイにルークは首を捻る。幸か不幸か、私以外はティアが怖がっている様子には気付いていないらしい。他の者達はコーラル城に思う所がある様で、各々の関心はそっちに向いている。実に残念だ。



「ルーク様は、昔の事何も覚えてないんですよね?」

「七年前にバチカルの屋敷に帰った辺りから記憶がねーんだよな」

「ルーク様お可哀想。私、記憶を取り戻すお手伝いをしますね!」



ルークの傍に寄ったアニスから、ガイが密かに距離を取っていた。流石ガイ。こんな時の動きはいつも素早い。



「……おかしいわね。もう長く誰も住んでいない筈なのに、人の手が入っているみたいだわ」

『…この城に住み着いた死者の霊達が夜な夜な徘徊して掃除をし、生者を誘い込もうと…「サク様っ!!」

『ごめんごめん。軽い状態だよ』



むしろ笑う所だし。今のは。ティアには効果が抜群だったようだけど。ふるふると体を震わせ、若干涙目になっているティアが可愛い過ぎる。いや、怒ってるのは分かるんだけど……ごめん、やっぱり可愛い過ぎ。ギャップ萌え…ていうのかな?こういうの。

少しティアをいじめ過ぎたかとサクが反省している(え?見えない?)近くで、ミュウも魔物が建物内にいる気配がすると、怯えた声で呟いていた。あれ?皆さん私とティアのやり取りはまたしてもスルーですか?



「アリエッタは、中かな。行ってみようぜ」



ガイを含むPMのスルースキルが発揮された瞬間である。実際は、単に気付かれていなかっただけなのだが。

そんなやり取りの後、ルーク達は崩れた門を抜け、割れた敷石の上を歩いていった。屋敷の前迄たどり着き、錆びた扉を押し開けると、微かにカビ臭かった。窓からぼんやりと光が入るのみで辺りは暗く、しんと静かで、空気は冷え切っている。広間に敷かれた赤絨毯を踏むと、埃が立った。…ハウスダストでやられそうだ。マスクが欲しいです。

取り敢えず、屋敷の中を手当たり次第調べる事となった。確かここって面倒くさい仕掛けがあったよな……と、朧気な記憶を思い出しながら、奥へと進んでいった。



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