タルタロス襲撃(8/11) 捕らえられていた部屋から何とか脱出し、非常昇降口にてイオンの奪還とタルタロスからの脱出を図ったルーク達。 イオンがリグレット達に何処かへと連れ出され、タルタロスへ帰って来た所に奇襲を仕掛ける作戦を立てた。 そして作戦開始時、作戦通り上手く敵の意表を突いてリグレット達を追い詰める事に成功した……のだが、リグレットの存在に気付いたティアの動揺と、アリエッタと魔物の登場が重なり、再び形勢が逆転。 再びルーク達は神託の盾達に追い詰められてしまったのであった。 「御主人様、囲まれたですの……」 ルークに首根っこを掴まれたまま、ミュウが呟く。ちなみにルークは神託の盾兵二人に剣を向けられ、その場で両手を上げて降参のポーズを取っていたり。 「アリエッタ!タルタロスはどうなった?」 「制御不能のまま……。この子が隔壁、引き裂いてくれてここまで来れた……」 リグレットの問いに答えながら、ライガを従え、アリエッタは階段を降りていく。 「よくやったわ。彼らを拘束して……」 リグレットが少し声音を和らげ、アリエッタに指示を出そうとした時だった。 ふと、誰か別の気配を感じたのだろう。リグレットは不意に言葉を切り、空を…タルタロスの帆を仰いだ。その瞬間、何かの影が彼女の傍に落ちてきて、素早い動きでリグレットを弾き飛ばした。 ……この時を待ってました! 間髪入れずに、彼が作ってくれた隙を突いてサクは非常昇降口から飛び出した。その時一瞬、既に動き始めていたジェイドと目が合った。キャー!大佐とアイコンタクトしちゃ…((ゲフンゲフン ジェイドがアリエッタを拘束する一方、サクはルークに剣を向けていた神託の盾兵二人を音叉で後ろから殴って昏倒させた。 導師様がこんな事をするのは如何なものかとも思ったけど……うん。気にしない。 「ガイ様、華麗に参上」 イオンを脇に抱き抱え、爽やかな笑みを浮かべるガイに、サクは内心称賛を贈る。生ナイスガイをこの目で拝めるとは……! 「ガイ!?それにサク!?」 『大丈夫だった?ルーク』 漸く状況を飲み込み始めたらしいルークが、目の前に現れた私に対して驚きの声を上げた。そんな彼にサクがニヤリと笑みを向けるのとほぼ同時に、アリエッタの「きゃ……」という小さくて短い悲鳴を耳にした。 ルークと一緒にジェイドの方へと振り返ってみれば、彼は一切の容赦なく、槍をアリエッタの本当に細い喉に突き付けていた。 「アリエッタ!」 一瞬、リグレットと一緒にアリエッタの名前を叫びそうになったのは、仕方ないよね。 「さあ、もう一度武器を棄ててタルタロスの中へ戻ってもらいましょうか」 リグレットは一瞬迷うも、言われた通りに階段を上がった。ジェイドはリグレットが乗艦したのを確認してから、続いてアリエッタに話し掛けた。あくまで槍は、アリエッタに突き付けたままで。 「さあ、次は貴方です。魔物を連れてタルタロスへ」 「……イオン様……。あの……あの……」 「言うことを聞いて下さい、アリエッタ」 アリエッタは泣きそうな顔で……いや、心配そうな顔で、イオンを見詰める。彼の顔色が優れない事に気付いたようだ。 しかし、イオンもまた、何処か苦し気に言った。……こういう時、少しイオンが可哀想になる。アリエッタは真実を知ってるから大丈夫だよ、ってイオンに教えてあげれたら良いのに……それをしないのは私なんだけどね。 抱き締めたぬいぐるみに顔を押し付けるようにして俯いたアリエッタは、最後に此方を見てきた。私が黙って頷くと、アリエッタはそれ以上は何も言わずに階段を駆け上がっていった。 他の兵士達もアリエッタの後に続き、全員が昇降口に入ると、ジェイドはティアにタルタロスの船体横のパネルを操作して階段を上げ、隔壁を閉じるよう指示した。 *前 | 戻 | 次#
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