タルタロス襲撃(7/11)

シンクが去って行った事により、再び室内には静寂が戻った。

アッシュに捕獲(?)された後、適当に連れて来られたこの部屋に放り込まれたんだよね…。ここで大人しくしていろ、なんて言われたけど、残念ながら私は大人しく待っているような導師様ではない。アッシュとシンクには悪いけど。



ガチャガチャ…

『(鍵掛かってるよね〜…うん)』



当たり前だけど、扉は施錠されている。外には見張りもいるだろう。が、これ位なら脱走しようと思えばいつでも可能だ。

タルタロスが止まってから、結構な時間が経つ。イオンがセフィロトの解呪を済ませ、戻って来るのにそう時間はかかるまい。

その前に骸狩りが発動される訳だが……出来れば発動前に此処を脱出するか、ルーク達と合流したい。

と、そんな事を考えていた折、コンコン…と控え目に扉がノックされた。次いで、施錠が解除される音と共に扉が開いて、部屋の中へアリエッタが入って来た。お友達のライガも一緒だ。



「サクっ!」

『アリエッタ!久しぶりだね』



入室早々、飛び付いて来たアリエッタを抱き締め返してやりながら、サクは微笑んだ。



『ごめんねアリエッタ。ライガママの所から帰った後、怒られたでしょ?』

「平気、です!サクはアリエッタのママを助けてくれたんだもん」



そう言って、アリエッタは嬉しそうに話す。アリエッタのお友達情報によると、卵は無事に還ってアリエッタの弟と妹達は無事に生まれたらしい。今頃キノコロードへ移住を開始している頃だろうとの事で。

嬉しそうに教えてくれるアリエッタを見て、サクは改めてライガクイーン達を助ける事が出来て良かったと思った。やっぱりアリエッタは、泣き顔より笑っている方がいい。



『あ、そうだ!ラルゴは大丈夫だった?』

「ラルゴは、今はお休みしてます。傷はサクに治してもらったから、大丈夫だって、言ってました」

『そっか。良かっ…』

<<死霊使いの名によって命じる。作戦名【骸狩り】始動せよ>>



伝声管から響き渡ったジェイドの声と共に、突然タルタロスに大きな振動が走った。

天井の全ての譜石から輝きが消え、辺りが闇に包まれる。だが直ぐに別の譜石…数も少なく色も赤っぽい物が灯り、辺りを照らし始めた。

タルタロスに備え付けられていた、非常停止機能が発動したのだろう。



「な、何が……起きたの……?」

『ジェイド達が動き出したんだ……』



怯えて抱き着いてきたアリエッタに大丈夫だと言い聞かせながら、サクは試しに室内から廊下に出てみると、部屋の外で見張りをしていたと思われる神託の盾兵の二人が、状況を飲み込めず焦っていたので、二人には遠慮なくピコハンを落として気絶して貰った。



「サク?」

『ああ、この人達は気絶させただけだよ。今からまた脱走しようと思ってね』

「サク、また何処かに行っちゃうの…?」



寂しいのか、うるっ…と瞳を潤ませて私を見上げてくるアリエッタ。ううっ……か、可愛い過ぎる!!



『ごめんね。此れからイオン達と合流したいんだ』

「アリエッタも一緒に付いて行っちゃダメ、ですか?」

『気持ちは嬉しいけど……アリエッタは今は任務中だよね?それに、アリエッタには他にいくつかやって欲しい事があるの』

「?」



不思議そうに首を傾げるアリエッタに、サクはニッと笑みを浮かべて見せた。



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