平行世界の存在

皆がイフリートの封印を解いた事によりこの場に現れたレミエルに気を取られている間に、サクはコッソリ青年と共に後ろへと下がった。唯一クラトスだけが私と彼を怪しんで見てたけど……まぁ、面倒くさいから今は無視しよう。



「本当はローレライが此方に来て、サクを元の世界(オールドラント)に戻そうとしたらしいんだけど……今現在、この世界のマナが不安定らしく、世界を越えたり繋げたり出来ない状態にあるそうだ」

『ずっと連絡が取れなかった原因はそれね……それで、貴方がローレライの代わりに来てくれたの?』

「いや、俺が此方に来たのは偶然だ」

『……はい?』



え?ローレライの代行者って名乗る位だから、てっきりアイツに頼まれて来てくれたのかと思ったんですけど……偶然って何さ?偶然って。

ロイド達には聞かれないよう、二人でコソコソと小声で話し合いながらサクは疑問に思う。



「肉体の再構築を終えた後、ローレライに戻される世界を間違われたんだ」

『肉体の再構築って……ちょっと待って。じゃあやっぱり貴方は、私が知るルークじゃなくて……』

「ああ。…俺は、サクがいた世界のルーク達とは別の世界のルークとアッシュの間で起きたビッグバンにより、二人の記憶が統合された人格(ルーク・フォン・ファブレ)だ」



原作のEDに現れた第三のルークかぁあああ!!と、声には出さずに心の中で叫ぶサク。

ようするに、彼はパラレルワールドのルークって事じゃないか!否、彼の方が原作通りの展開で話が進んだのだから、私がいた世界の方がパラレルワールドか?

……いやいや、ちょっと落ち着こうか自分。問題はそこじゃない。

そもそも、原作のEDでローレライを解放した2年後に、彼はティアの詠う大譜歌によりタタル渓谷に召還(戻)されていた。ローレライと完全同位体であるが故に、ローレライを召還するのと同じ方法で彼も召還出来たのだろう。EDのあの場面に関して、私は勝手にそう推察している。

まぁ推察の真偽はともあれ、本来なら肉体の再構築を終えた彼は、原作と同じ様にタタル渓谷へ戻される筈だった。

しかし、今回彼は何故かここに現れた。



「肉体の再構築を終えた後、ローレライに戻される世界を間違われたんだ」



……此れはひょっとして、



『………まさか、ローレライから接触があった時に私が大譜歌を詠ったから……ローレライの代わりに貴方が此方に引っ張られてしまった、とか…?』

「…まぁ、それも一理あるかもな」

『…………』

「…………」

『………』

「……」

『…あの、何ていうか、ごめんなさい……』

「……いや、お前もローレライに間違われて此処に来たんだし……仕方なくね?」



もう、何て言うか……互いに疲れました。色々と。



「……取り敢えず、互いに元の世界に帰る方法を探そうぜ?」

『うん…そうだね……』



天使化が進んだ影響で生えたコレットの羽根が綺麗だ…と頭の片隅で感想を述べながら、何処か遠い目で傍観&現実逃避に走るサクと別世界の"ルーク"であった。


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