08

理不尽過ぎる疑惑


「ローズさん、大変だ!」

「こら!今、軍のお偉いさんが来てるんだ。大人しくおしよ!」

「大人しくなんてしてられねぇ!漆黒の翼を捕まえたんだ!」

「だから違うって言ってるだろーが!つーかさっきの流れで何で漆黒の翼って疑われるんだよ!!?」

「街の入り口で騒いで味噌を寄越せ〜とか険悪な顔でチーグルを脅してやがったんだ!」

「Σ何かすげぇ誤解されてる!!?」



前回よりも理不尽な理由で漆黒の翼と疑われ、村人B・Cや宿屋のケリー、食材屋の人達によりローズさん宅に連行された俺(ティアとミュウも含む)。今回も猫の如く首根っこ掴み上げられて突き出されていたりする。



「ミュウゥゥ、ご主人様は悪くないですの!それに本物の漆黒の翼さん達はもっと年増な三人組ですのに、ご主人様にいちゃもん付けてくるなんて酷いですのー!」

「Σんな!?チーグルが喋った!!?」

「僕は聖獣チーグル型ブタザルのミュウですの!」

「Σ聖獣チーグル型!?ブタザル!?」

「オイこらドラえm……じゃなくてブタザル!!もとはと言えばお前のせいでもあるんだからこれ以上話をややこしくするんじゃぬぇー!」

「だって事実ですのー!」

「おやおや、威勢がいい坊やとチーグルだねぇ。兎に角皆落ち着いとくれ」

「そうですよ、皆さん」



喋るチーグルにも驚かずに村人や俺とミュウをたしなめるローズさんって……喋るチーグルに驚かないローズさんって一体何者だ?とかちょっと驚いてたら青い服を着た眼鏡の男が話の中に割って入ってきた。



「私はマルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐です。あなたは?」

「(Σ尋ねてねぇのに名乗りやがった!?)…俺はルーク。彼女はティア。えと、二人で旅をしてるんだ」

「ご主人様、ミュウもご一緒してますの!」

「あ〜、わかってっから話をややこしくするなっての!」

「(相変わらず嘘が下手ね……旅をしてるというのは、全くの嘘でも無いけれど)…大佐、私達は漆黒の翼ではありません。それに、漆黒の翼は男女三人組だとお聞きしています」

「ティアさんの仰った通り、漆黒の翼は三人組です。喋るチーグルを連れているという情報もありませんし、彼等が漆黒の翼という線は薄いと思われますよ」

「(うわっ、ティアにさん付けとか懐かし過ぎる呼び方だな!)」



とまぁ、この後無事に疑いも晴れて、その場は一件落着した。実際に漆黒の翼に遭遇した前回とは違い、確証の無い証拠(男女三人組とか)ではあったが、大佐の意見の後押しもあって信用して貰えたらしい。

ただ一つ気になったのが、ジェイドの対応が前回とあまり変わりがなかった事。…あれ?ひょっとしてコイツ"戻って"きてないんじゃね?と思わずティアに目配せをしちまった位だ。


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