04

感動する暇がぬぇー!!

前回と今回の相違点を発見し、屋敷へ侵入してきた"今回の"ティアに違和感を感じて首を傾げるルーク。そうやって彼が疑問符を飛ばしている間に、譜歌は完成した。第一譜歌の効果で思うように動けず、尚且ついきなり現れた自分に対して驚きを隠せないでいるヴァンに、ティアはクスリと冷笑を浮かべた。



「グランドクロス!」

「メ、メシュティアリカアアァアッ!?」



まさか、このティア……戻って来てるのか!?一切の容赦なく決められた彼女の技を前に、ルークはほぼ核心した。思わずニヤリと笑みが浮かんでしまう。

ならば…



「てめぇ、ヴァン師匠に何しやがる!レイディアント・ハウル!」

「Σぐああああっ!!?」

「な…!?」

「あ、悪りい!間違えてヴァン師匠に当てちまったぜ」



侵入者であるティアを狙った筈のルークの秘奥義は、狙いがそれてヴァンに炸裂した。ちなみに、本当はロスト・フォン・ドライブをかましたかったルークであったが、生憎ローレライの鍵を装備していない為に無理だった。

しかし、先程のルークの言った台詞は非常に棒読みに近く、わざとらしい口振りからしても、完全にヴァンを狙っていたとしか思えない。そんなルークの行動に、今度はティアが驚く番だった。

どうやらティアもルークが感じたのと同じ違和感を感じ、そして先程のルークの言動で気付いたようだ。今目の前にいる彼が、一緒に旅をした"ルーク"であるという事に。



「まさかあなた……本当に、"ルーク"なの?」

「あぁ。……ただいま、ティア」



震える口許を手で隠すも、堪え切れずにティアの瞳からは涙が溢れ落ちる。もう会えないと思っていた事もあり、確かに果たされた約束にルークも嬉しさが込み上げる。

感動の再開を前に、先程まで起きていた…正確には現在進行形で起きている侵入者事件はどこへやら。最早あやふやになりつつある。

こうなると、完全に二人だけの世界である。実際、今この場でまともに意識があるのはこの二人だけでもあるが……否、もう一人いた。



「ルーク!私も加勢致しますわ!!」

「Σって、な…ナタリア!?」



何処から現れたのかは不明であるが、ビシリとティアを指差しながら凛と中庭に佇むドレス姿の女性。言わずもがな、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア、その人である。


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