デイドン砦

ようやく森を抜け出したシンクとサクは、取り敢えず近場の街を探して、先ずは情報収集をしよう。と考えていたのだが……現在、何となくサクの記憶にある、かつて画面越しに見た懐かしい光景が、実際に目の前へと迫って来てます。



『うわぁああおう!ヤバい、コレはものっそヤバい!!まだ森を脱出しない方が良かったんじゃないかって位!!』

「凄い魔物の群れだね……しかも、妙にデカイのが一匹いるし。あれが群れのボスかな?」

『えーと、あれは確か……そう!ギガントモンスターだ!!』



デイドン砦を見付けて助かったーと思った矢先、魔物の大群が地響と共に砦に向かって来ていたのであった。



「何でも良いけど、取り敢えずあそこの砦まで逃げれば……て、何か正門が今にも閉まりそうなんだけど」

『え、嘘…!?』



魔物の大群から視線を砦に戻し、よく見てみればシンクの言葉通り、確かに門は既に半分以上閉まり掛けていた。余裕はない状況ながら、一瞬緊急時には要塞になるマルクトの首都を思い出した。やばっ、そういえば来週ピオニーとお茶会の約束してたんだった………ま、いっか☆暫くはあっちに戻れないんだし。

そこでサクはふと、近くに人形が転がっているのを見付けた。閉まり掛けた門の先……此方を見ながら泣きそうな顔をしている女の子が、走る青年の小脇に抱えられているのが見えた。

あれは……もしかしてもしかしなくても、ユーリ!!?うわぁ、スゴいジャストなタイミングで来ちゃったんだなぁ私達。



『この距離さ、絶対間に合わないよね』

「ていうか走る気サラサラ無いでしょ」

『まぁね』



サクは人形を拾い上げると、砦内に入った後に再び此方に引き返そうとしていたユーリ(推定)に向けて思いっきり投げつけた。確実に届かせる為に、譜術を使ってたりする。門が閉まる直前に、ユーリが人形をキャッチしたのを見てサクは親指を立ててやった。ナイスキャッチ!



「どうする?砦を飛び越える?」

『ん〜…仕方ない、殺るしかないね』

「"やる"の変換が恐いからっ!!ていうか、別に堤防の上迄跳べば済むんじゃ…」

『ギガント覚悟ぉおおお!!!』

無視かよ。てか、血の気多過ぎ」



取り敢えず、平原の主…群れのボスを叩けば群れは統率を失うだろうと狙ってギガントに挑戦する事にした。確かにシンクの提案通り、シンクは身体能力が高いし、私は譜術を駆使すれば堤防の上迄跳べるさ。けどね、何か逃げるって私の性分に合わないのよ。基本的に。それなら爽快活劇で倒しちゃった方が良くない?て考えが行き着いたが故の行動です。サクッと一狩り行こうぜ!

ちなみに、シンクが焦ってたのは魔物が迫って来てるからではなく、サクの無茶苦茶な発想と行動に対してであったりする。



『喰らえいっ!バルスッ!!』

「臥龍空破!……って、何その目潰し攻撃!?…昂龍礫破!」



魔物の群れの間を掻い潜り、一気に平原の主の間合いに飛び込んだサクは、振り上げたBCロッドでギガントの目を強打。その攻撃を見たシンクが、卑怯だ…と密かに呟いていた。お言葉ですがシンクさん、私が目潰しを狙った直後に容赦なく奥義を叩き込んでコンボを繋ぐ君も君だよね。

最終的に、ギガントを相手にするのも疲れてきたし面倒にもなったサクが、超振動を使って一気に片を付けて終わらせたという。後程、カウフマンや魔狩りの剣からギルドに入らないかと誘われたが、勿論丁重にお断りしておいた。

どうせ入るなら、ブレイブベスペリアに入りたいからね。


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