06



二人で道を歩く。
クセで、2歩後ろを歩いていたら手を引かれてその距離は近い


あぁ、でも、三成さんだ。



「弥月」

『なんですか? 三成さん』

「・・・」



名を呼ばれて、いつものように返せば、繋がっている手がギュゥッと握られた

あぁ、やっぱり私に記憶がなかったのは本当らしい。

三成さんは、どう思ったのだろう、

あんな話をしたのに・・・足は止まらない。

けれどある一つの大きな日本屋敷の前で止まった.



『三成さん?』

「覚えていないか。」

『え・・・』

「敬語を使うなといっただろう。」



それから、そういわれた。
でも、納得する。

肝に免じておく、と言っていたくせにまたさん付け敬語で話している

さっき手が握られたのはそういうことか。
そうだとしたら、考え損だ。



『あ、あぁ・・・ うん。ごめん。』

「・・行くぞ」

『はい。』



あぁ、いつもどうりだ。

「いつも」どうりの三成さん・・・否・・・三成だ。

また、歩き出す彼に合わせて歩き出す。
もう私は猫じゃない。


ここでは、ただの・・・



『ここ・・・』

「あぁ、」



大樹、池、見覚えのある・・・屋敷・・・。


「お前が最初に建てていた屋敷だ。」

『っあぁ・・・残って』



ここは、私が向こうにいた、証。



執筆日 20130514



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