08
闇が迫ってくるのが感覚で分かる。
三成さんよりも・・深い闇・・・その先に観えるのは、赤、赤、赤、赤・・・
赤に濡れて行く夕日色。
彼は一体何を求めているのか。
ぬるりっとした闇
目の前に開かれたそこに、映える夕日色。
初めてあったときのように、闇からするり、っと出てくるわけでなく、そのまま私へと飛びついてくる。
「っ弥月、ちゃんっ」
耳元で、夕日色の髪が揺れる。
それをただ、客観的に眺めて視線はそのまま、別のところにむけた 。
この闇は、イラナイ。
この闇には照らしてくれる炎があるから・・・
私には関係ない。
「よかった、片倉の旦那が教えてくれて・・・っ」
『・・・小十郎さん・・が・・』
「あの後、すごい心配した。
生きてて、よかった・・・っ」
『・・・佐助。』
「なぁに?」
『・・・・助けてなんて・・・言って無い。』
でも、彼が私を助けたから・・・私は結局生きてしまった。
あのまま彼の手で殺されたら、どれだけ楽だったのだろうか・・・
こんなにも、心がぐちゃぐちゃする。
二つに一つ
いっそ、死んでしまいたかった。
「ねぇ、弥月ちゃん。」
『・・・』
「石田の旦那ね、あれから変なんだよ?」
『・・・三成さん?』
「ねぇ、お願い。お願いだから・・・せっかく戦の無い世になるのに・・・その可能性を無化にしないで・・・」
けれど、もしも、彼が望んでくれるなら、
私はどんなに陰口を叩かれようが、生きれるのに・・・
執筆日 20130420
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