06
*-*Side Kojyuro*-*
「どう・・・すっか・・小十郎・・・」
はぁっとため息をつき、政宗様は言った。
忍が弥月が呼んでいる、と言ったときは驚くほどの早さで弥月を寝かせていた部屋へと走って行った。
だが、向かって複雑な事態になったが。
「あれは、本当に狂ってしまいましたね。」
「っShit!どうしたらいい・・・っ」
死にたがりの猫。
あんなにも命を大切にしていた娘が、何故、生かしたのかと涙を流した。
政宗様が困惑する理由も分かるが、俺にはどうしたらいいかなんてわからない。
・・・だが・・・
「・・・徳川に、保護されている浅井が妻を覚えていますか?」
「Ah?」
「東軍が敗北したあとは武田に保護されていますが、黒頭巾たちが偵察に言った時に、「紅猫さんはどこ?」と聞いたそうです。」
「・・・弥月のことだって言いてぇのか・・・」
「確証は持てませぬが・・・」
政宗様が呟くように言った言葉に頷く。
今は武田領に居るその女が言っていたのはどう考えても弥月のことだろう。
真田は確かに「若虎」といわれ、赤い衣を纏っているがそれでも、「紅猫」を探している。
当てはまるのは、消去法で一人。
「連れてくるのであれば、行ってまいりますが。」
「手がかりがねぇよかいい。」
「・・御意に・・・政宗様。」
「・・・What's?」
あの女は根の国がどうとか言う奴だ。
だが弥月のことだ。
もしかしたら会ったことがあるのかもしれない。
政宗様から許しを貰い、立ち上がるが、足をとめた。
「今の弥月は何をするのか分かりません。
あの石田のように・・・どうかそばについていってやってください。」
そしてそういえば、政宗様が俺を見上げた。
そんな主を一瞥して、歩き出す。
娘のような子だ。
無理に己を押し殺し、非現実的な考えをたくさん手にしている
貿易も勉学も、この間の話し合いではっきりした。
出てないにしろ、弥月が考えているのはずっとずっと先の未来のことだ。
海神の巫女じゃねぇが、先見の力があるように思える
今失うには、惜しい人材だ、
「(石田のためにも・・・)」
今の日ノ本のためにも・・・
執筆日 20130419
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