03

*-*Side Masamune*-*



「どういうことだ、小十郎。」



自然と声が低くなる。
大阪城に行くと言った俺を引き止めたクセに、ここにいる人物。

小十郎はただ、目を閉じている。

おかしいじゃねぇか。
大阪から奥州まで何日かかると思ってんだ。

あの話し合いにだって出てねぇのに・・・。



「武田の忍。 猿飛からの報告を黙っていたことは、この小十郎謝罪いたします。」

「報告・・・?」

「石田が軍師・・・田沼弥月は世間的には消息不明、ということです。」

「What's!?」



目の前で眠っているのは、その消息不明の弥月じゃねぇのか?
怪我をしてるのが見てわかったから何かあったというのはすぐに分かる。

だが、なんで猿飛の報告が・・・



「アイツの報告では、石田が弥月を・・・。」

「な、に・・・?」



小十郎の言葉に、いやな汗が流れる。
石田が、弥月を、

その言葉に続く言葉は、きっと「手にかけた」だろう。

Lieっ・・・嘘だ。



「慌てて止めにはいり、庇った時に光に包まれ、消えたと。」

「Why・・・じゃあなんで。」

「それは俺にも、ただ。」



疑問が疑問を呼ぶ。
小十郎が口ごもり、「弥月は俺が保護したとき、光の中から現れました、」と俺に言った。

つまりは、Warpしてきたっつーことか?


弥月は、婆娑羅者では無いはずだ。



「目を覚ますまでは、他国には黙っていようと思っています。」

「あぁ、そうしておけ。」

「猿飛には、」

「すぐに偵察に来んだろ。」



あの猿のことだ
今は戦もねぇし、何日か抜けたって真田には優秀な忍が何人も居る。

来た時に伝えりゃあアイツはすぐに何をすべきか理解すんだろう。


さらりっと眠っている弥月の髪を撫でる、
どっちかっていうと真田幸村よりも濃い茶色い髪。

俺よりも少し柔らかい髪質は触っていて飽きない。



「具合はどうなんだ」

「左肩の刺傷一番重症ですが、体中のいたるところに打撲痕があります、」

「・・・っあいつも堕ちたか・・・」




石田に助けられたと笑った。
そんな女が、その大切な主に殺されそうになった・・・それは、もう必要ないと言われているようなものだ



「狂うなよ・・・Kitty」



柔らかい髪を、撫でる。

石田に不必要だと言われれば、きっと迷いなく命を捨てるだろう。
もし・・・此処に来たのが・・・死に際を悟ってだとしたら・・・


この女は、本当にCrezy Cat(狂った猫)になる





執筆日 20130416


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