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『佐助ー・・・それか・・・かすがさーん。』


今日はしっかりとした戦装束。

文には2週間後、と書かれていた甲斐の虎・武田信玄や軍神・上杉謙信など、各国の軍師やこれからのことについて話し合うために会う予定だったが、あいにく私のほうが駄目になりそうだからだ。


だから、佐助かかすががいればどちらかに文を届けてもらえる。

多分、どっちかは来ているはずなのだが・・・

なにぶん、私は石田軍の忍隊の皆さんが少々怖くてしかたない。



「・・・なんだ。」

『あ、よかった。』



けれど、どうやらかすがさんがいたみたいだ。

それにホッとしつつ『はい』と縁側から庭に下りて彼女に手紙を差し出す。
そうすれば「なんだ」という視線を私に向けた



『上杉様と武田様に渡して欲しい
 残念だけど、私は今回参加できそうに無いから、そのお詫び。』

「・・・参加できないだと・・・?」

『うん。
 天下を治めた総大将の仮にも軍師だけれど・・・

 でもやっぱり、今・・・まだ落ち着いていない状況の三成さんを置いて城を空けるわけには行かない。』



すこし微笑んでそういえば、ムスッと表情を彼女は崩した。
綺麗な顔なのに、もったいない。

私とは違って、まっすぐなところは羨ましい。

こんなことでしか、私は・・・彼を支えられないから。



『彼には、もう、支えてあげられる人が居ないんだから。
 欲してくれている間は・・・絶対に裏切らない。

 裏切りは許されない。』

「・・・お前。」



本当、戦が無くなってからおかしくなった気がする。
きっとこれは疲れてるからだ。

だから、すこし執務から離れたいけど・・そんなことをしたら傾くに決まってる。



『手紙に、私が話したい内容は大体書いた。
 だからそれを謁見の時にお願いします。
 
 これ、運び賃。』

「・・・あぁ、わかった。」



私の手から、小さな袋を取りしゅっと目の前から消えた。
私の気持ちを、主一筋の彼女なら分かってくれるだろう。



『(どんな話をしようか)』



最近はあまり時間がとれずに夜にしか会えなかったが、今日はずっと一緒に居よう。
半兵衛様たちとのお話をして、これからの天下の話をして・・・


それから・・・それから・・・






『(笛でも、聴いてもらおうか・・・)』



全然触れていないけれど、まだ、吹けるかすらわからないけれど・・・



執筆日 20130413


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