06



かすがが来てから、すでに数日がたって、本来ならば今日が謁見の日。


うまく、伝えてくれただろうか、なんて思いながら三成さんの部屋の前。
声をかけ、障子を開いた。

とたんに刀が突きつけられて、グイッと手が引かれて、畳に押さえつけられた体。



何を、間違えてしまったのだろうか。



乗っているのは言わなくてもわかるだろうが、三成さんで・・・
腹の上に乗って、するりっと首に回る指。


その指が、酷く血の気がなくて、冷たくてぞっとする。
けれど、彼は確かに生きている。



『っみ、つなりさん・・・っ』

「・・・なぜ、なぜだ・・・っ」



三成さんの目は、あのときのように赤を流している。
ここ数日、一度も見ていなかった。

秀吉様を失った直後の・・・三成さんの瞳。



『あっ・・・ぐっぅ・・・』

「・・・っ」



ギリっと、首に回された手に力がはいった。
骨がギリギリと音をたてて、悲鳴を上げている。

冷たい手が、私を締め付ける。



『っぃ・・らり・・さ・・・っ』



抵抗しては・・・いけないって・・・
でも・・・これ以上締め上げられたら・・・、

力なく首に巻きつく手に指を這わせればびくりっとその手が震えて



『はっ・・・げほっっぅっぁ・・・・!!』



緩められたその力に、一気に喉を酸素が逆流して行く。
ノドが焼けるように痛い。

大きく咳き込んでしまった

けれど、手は首にそえられたまま。
目は涙でかすんで、よく見えない。



『み、なりさっなっ』

「貴様は、いいな・・・己にやりがいがある」

『あ”あ”ぁああ!!』




握られた刃が肩を抉る
声をあげすぎて喉が痛い。


ジクジクと左肩が赤をこぼれさせる。



「私をっおいていった!!」




その言葉に、ここ数日のことが思い出される。
なるべくそばに居たから、きっと彼は思ったのだろう。

何かを、中止した後だと。



己に黙り、一人で行動していたことを。








『(私は、いつのまにか・・・)』










貴方を、裏切っていた?







再び振り上げられた鋭いその刃

一度刺されたから、私の血が滴り落ちて、戦装束を染める。



あぁ、そういえば・・・




『(一度も・・・戦で刀傷は受けたこと、なかったな・・・)』



ぽたりと落ちたのは




私の血(イノチ)か・・・それとも、彼の涙か










『(半兵衛様)』














キミは光になる素質があるよ。








貴方に、そう、言われたけれど

私は光になんてなれませんでした。



赤を散らせて

貴方は、私を助けてくれたのに。




わたしは、たすけられないまま?





*-*狂ウ咎人*-*



凶王は、一人ぼっちで


猫は独りぼっちで



ただ、孤独に耐えられなくて。






大切なものを手にかけました


執筆日 20130413


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