04



赤が散る。
舞い散るのは、花も同じ。

それでも、人の命を私は散らして行く。


今の私の目標物は、金吾少年。
仕方が無いことだ、彼には苦しんでもらうしかない。



「やれ、弥月。」

『ぎょ、うぶさ、ん!』

「金吾は我に任せよ、主は三成を追え」



キンっと金属の音。

振り返れば、いつものように水晶を浮かせた彼。

この戦は病に犯されている彼には辛いだろう。
なのに、なのに彼は残ってくれるといったのだから。

この戦は、比較的、こちらが不利だろう。
けれど、私はこれ以上大切なものは失いたくない。

でも、それさえも叶わないのは、この戦乱の世なのだから仕方が無い。



「先ほど、我等が本陣から本多の姿が確認できた。
 急がぬと三成が危険よ、キケン」

『!本多忠勝が・・・ッ』

「そちらは我等におまかせくだされ、弥月殿!」



本多忠勝。
その名を知らないものは居ないだろう。

戦国最強。

そう謳われているその人が、本陣から確認できた・・・
ということは家康のことを助けに行くのか・・・。
それとも・・・ 否か・・


そんなの、知らないが・・・っ



家康と合流させるわけには行かないのは確かなのだ。


私じゃ太刀打ちできないのは分かっている、それでも行かなければならない、と近くに待機させていた軍馬の方へと走り出そうとしたが、その前に、私の後ろから駆け抜けて行く白馬。

その白馬に乗っていたのは、真田殿。


ぽかんっとしてしまったが、シュタっと私の横に現れたのは夕日色。



「大将の言うとおり、本多忠勝はこっちに任せてよ、子猫ちゃん。」

『猿飛・・・』

「んー、むずがゆいなぁ・・・
 ねぇ勝ってくるからそしたら佐助って呼んでね、」

『え、』

「じゃ、行ってくるね、子猫ちゃん。」



そして、にこりっと笑って私の頭をワシャっとなでるとずるりっと影の中に消えていった
はい・・・?


きょとんっと固まってしまったが長々しく固まっている時間はない。

金吾少年は刑部さんが行く。
本多は武田軍が・・・

なら・・・


軍馬にまたがり、馬を走らせる。

なら、私は・・・







執筆日 20130408


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