07




いい加減、足がしびれてきた。
が、目の前にいる人はそんなこと、気にしてはくれないだろう


こうなったのは、ちょっと前の会話のせいだ。
いや、注意力なかった私も私だったが、きっと私の事を屋根裏で見ている忍・・・猿飛佐助は知っていたのあろう。
あぁ、くそ・・あいつもしかられればいいのに。





「これは?」

『うん、言うのは構わないです。
 ちょこちょこ摘んでいくの勘弁してくれませんかね。』


今から私の感覚で、だが40分ほど前。
名前を教えるからもっと見せてよ。と私に言ってきたその男に、別に隠す意味も無いからと、歩君と別れて来たのは畑。

陰になっているところと、日向と、今のところあまり種類は無いが、比較的薬草よりも毒草が多いのは「毒には毒を・・・」という逆治療も含めて・・・とか深い意味は無い。

ただ自分で使うから

で、まぁそんなこんなで薬草の説明をしているのだが、何に使うのか(いや、武器に使うのか知らないが)ちょこちょこ回収してる彼の姿を見て、苦笑いだ。

減るが、まぁ、見方だから、という私の独断だ。



『ねぇ、そういえばあの黒いのなんだったの?』

「黒いの?」

『そ、アンタが戦ってた黒い忍。』



でも、ふと、思い出したから聞いてみた。
そうすればあー・・・っと嫌そうにあさっての方向を向いた。

うん、あの時も思ったけど、こいつ本当に忍か?



「あれは北条に仕えてる風魔小太郎っていう伝説の忍。」

『伝説?』

「そ、風のバサラを使う、別名風の悪魔。」

『・・・ふぅん。』

「ちなみに、俺様も結構有名なんだよ?」

『真田十勇士ね、しってるしってる。』



うん、話がややこしくなりそうだ。
これぐらいしかわからないし、

本当の史実じゃあ、猿飛佐助は架空の伝説の忍って言われてるけどね。
うん、仙人と修行したとか言われてたんじゃなかったっけ

まぁ、ここで会話はプツリっと切れてしまったのだが・・



「さぁすぅけぇええ!!!!!」



だが突然聞こえてきた叫び声に、ぎょっとして振り返る。
この声は先ほど聞いた声だ。

ズドドドドッっと砂煙を上げてこちらに走ってくる紅を視線に捕らえたからか、それとも否か、私の隣に立つ猿飛が苦笑いをした。



「ここにおったのか!佐助! 
 と、・・・貴殿は・・・」



そして近くまで来れば、私と猿飛を交互に見て、首を傾げた。
あぁ、そっか、と理解。



『先ほどは失礼を、武田軍大将真田幸村さま。』

「む?」



同盟が済んだ、ということは彼は私の上の立場になったということだ。
膝をおって、地面にひざまずく。



『石田軍・軍医を勤めています、弥月といいます。』

「弥月、殿にござるか」

『敬称なんていりません。』



それから、己の身分・・・というか、自分を示せば彼の声はやはり不思議そうだった。
私に敬称をつけるのは歩君とか、私の隊の人たちだけだけれど

結構、フレンドリーだしね。

私の言葉に、ポンッと、肩に手が置かれて、見えたのは紅。



「顔を上げてくだされ、某はそのような位のものではござらん。」



そしてそのままそういわれた。



「それに貴殿は佐助の束縛を解き、海に落ちたと聞く。
 さすがにござるよ!」

「・・・どういうことだ、弥月。」

『・・・は?』



だが、しかし、この目の前に居る人物とは別の低い声が聞こえたのはきっと気のせいではなかった




そして文頭に至るのだ、



執筆日 20130405


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