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「我は隠しておったのになぁ、主が悪いのよ、弥月。」

『充分理解していますから大丈夫ですよ。』



長ったらしい三成さんの説教を受け、やっと開放された私は刑部さんのところに来ていた。
まぁ、なぜかといえば、彼の包帯を代える為なのだがそこでいわれたのはその言葉。


金吾少年のところで三成さんに怒られなかったときにすでに理解していた。

ばれてしまったのは仕方の無いことだが・・・


こう、後になると忘れていた分ちょっとね・・



「弥月。」

『はい?』

「主はまっこと面白き娘子よ。」



だが、ふと名前が呼ばれて手を止めて顔を上げれば、月蝕のその瞳が私を映している。
キョトンッとしてしまったが、その瞳は不思議そうに私を見ていた。

面妖とか、面白いとか、彼が私に当てはめるのはそんな言葉ばかりだ。

でも、まぁ、構わないけれど・・・



「猫は虎を、狐をも手に入れるか、やれ、ユカイユカイ。」

『手に入れるって・・・』

「主が化けて出ぬか、我は心配よ。」



けれど、その言葉に首をかしげる。
化けて出るって・・・猫が?

うん? 化け猫になるってこと?



『刑部さん、私は人間です。』

「何、主は自分で戦猫だと名乗ったであろう?」

『いや、それは仮の話で・・・』

「猫には印をつけなければいけぬな、ほれ、これをやろう、」



言葉のキャッチボールをして欲しい、
いや、一方的なドッジボールになってるような気がする。

言っても意味無いだろうが、それよりも印、といって差し出されたのは何かの欠片。


包帯がまだ中途半端なのに、彼はそれを私に差し出した。



だから、急いで巻いて、それから止めて、ソレを受け取る。


5cmぐらいの、水晶だろうか。



「主が化けぬよう、まじないをかけておいた。」

『はぁ・・・』

「肌身離さずもっておれ」



けれど、とりあえずいただけるものは頂いておこうと思う。
きらきらしたものは好きだから。




*-*再会・再開*-*


(弥月、すまぬ)
《はい?》
(主には酷なことをやらせてしまう)
《・・・しかたないですよ。 これが、この世の理です。》




もうすぐ、始まる。



執筆日 20130406


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