04

*-*Side Sasuke*-*



布越しに触れられた暖かい体温。
それに驚いて手を離してしまえば、逆に口を押さえていた豊臣の猫はきょとんっとした



『・・・そんなに驚くことじゃないでしょ。』



そして苦笑いしたその子は、あの時の子とは思えない。



「あっれー、まだ生きてる子が居たのか。」


初めてあったのは毛利の船の上。
血に濡れた甲板を目に、絶望したその視線。

おちゃらけて声をかければ、その視線は俺様の生み出す闇に向く。

彼女の後ろに回って攻撃を仕掛けようとしたが、彼女はそのまま後ろ向きに走って俺様の攻撃を回避した。

そういう危機管理能力はさすがといったところだ。

いつものように闇から現れれば、目の前の女の子の表情が俺様の手を見た瞬間歪む、

そして、降ろされていたその手が武器である銃をとって俺様に向けられた。

へぇ、珍しいもんもってんな・・・なんて、もしかしたら表情に出てたかもしれない。


だから威嚇するように手元で回せばその子はぶらさげていた手に吊るされている剣に手を伸ばそうとしていた。


「へぇ、アンタが隠し玉ってわけか・・・」

『隠し玉かどうかは分からないけどね・・・』



剣に西洋火器・・・
ということは、豊臣の猫っていうことだ。

実際に会うのは初めてだけれど・・・女の子って言うのは知ってた。

旦那ぐらいの女の子が、って思うと少し見習って欲しいな。



「あんた、名前は?」

『名乗らない奴に名乗る名など無い。』



でも、聞いたら、そう返された。
まさにごもっとも、だけど、俺様だってそうだ。


「てっきびしぃ!
 忍が簡単に教えるわけ無いでしょう?」

『何?暗殺?
 これだと明殺じゃないかな?』


それから言われた言葉に笑ってしまう。
あぁ、そうだ。

でも、俺様の仕事は暗殺でも明殺でもなく、偵察。

今の時期に・・・大戦を控えているのに、毛利と戦をする意味が無いし、大将が倒れた今、情報は多いに越したことはない。

西軍の総大将とされている石田三成はいないし、これは囮の戦かと思いきや、重役がいたもんだ。



『残念だけど、此処にあんたの思うような人はいない。』



それから彼女に言われた言葉に、彼女は自分の価値を知らないんだと思う。



「あっそ、でも、アンタの首持って帰るのも、いいかもね」



だからそう言って、婆娑羅を発動させれば彼女の目が見開かれ、一気に距離を詰めそして喉元に刃を突きつければ、逆に突きつけられた細い鍵爪。



「っと・・・あんた、暗器ももってんの?」

『さぁ、』

「まぁ、君は謎の多い子猫ちゃんだからね、弥月ちゃん。」



素直な感想。

この子の武器は表にでてるこの二つかと思ったけれど、遠距離、中遠距離、・・・近距離内に入れば攻撃はしてこないと思ったのに、予想が外れた。

あぁ、凄いね、弱点をうまく覆い隠してる。


だけど、早く済ませないと・・・





執筆日 20130402


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