03




「某、武田が総大将、真田源二郎幸村と申す者。
 このたびはお目通り感謝いたす。」


話し合いの場・・・というのだろうか・・・声をかけて聞けば、すでにお二方ともいる。といわれて焦った。

まぁ、まだ同盟も組んでいない敵将。

もしかしたら三成さんが暴れたのかもしれないが・・・


その場所へと行き、声をかければすぐに入るように言われる。

だがしかし、私は着流し。

この場にはいることは出来ればしたくない、
場違いにもほどがある。


って言うことで、私は部屋の外にいるわけだ。
まぁ、何かあるといけないし、それに彼の武器を私が持っているのだから。

それにしても・・・



『(私、男に間違われてるな。)』



まぁ、戦場で甘く見られるよりかはいいだろう。
それに、戦場であったことは無いしね。

ふぅっと、息を吐いて肩の力を抜く。


中から聞こえるこれに目を閉じて聞き入る。



己の師。

武田信玄が徳川と戦いたい、
その願いを叶える為に西軍に下るのだということだ。

刑部さんはいい駒だと思うだろう・・・。

けれど・・・



『(三成さん・・・)』



彼にとっては複雑だろう。
複雑というか・・・悲しみというか・・・・

元親のときも、彼は・・・



「・・で、アナタには待つように言ったはずなのですが。
 ここまで入ってきて、己の主が不利になるとは思わないのかな。」



けれど、今は別だ。
あの青年についてきたんだろう、あの忍が私の真上の天井裏に潜んでいるらしい。
うまく、気配は消せているが、ここの天井の板は薄い。

歩いているときにかすかに別の音が聞こえたから、彼がついて来ていることは分かっていた。

ガタリ、と上から音がすればスタリっと上から降りてくる人。

私の目の前に着地したその人を確認するべくゆるゆると目を開けば見えたのはドアップな夕日色。



『っんぐ』

「シー・・声上げちゃ駄目だって、猫さん。」



思わず声が出そうになったが、その前に、口を手でふさがれて声は出なかった。
その代わり、あのときの含みのある笑顔で私を見ている。

あぁ、そうか、



『(だから刑部さん・・すぐに会えるって言ってたのか)』



っていうことは、この目の前の男は真田十勇士の一人ということだ。

有名な名前といえば、猿飛佐助、霧隠才蔵、由利鎌之介・・・


全員は知らんが、この3人は有名だと思う。
だって、この三人でさらに上の位じゃなかったっけ・・・?

まぁ、いい加減離して欲しくて口を押さえているその手にそっと触れれば、ビクっとその手が震えてバッと離された。



『・・・そんなに驚くことじゃないでしょ。』




それに、逆に私が驚いてしまったのだが・・・



執筆日 20130402


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