02
「たのもー!!」
元気で勇ましい声が響く。
・・・うん、なに・・・?
すごい破壊音が聞こえたんだけれど・・・・。
ここが、門に近い場所でよかった。
「我こそは真田源二郎幸村!!
このたびは徳川殿との戦に参ずるべく石田軍が御大将・石田三成殿を訪ね、西軍の門を叩いた次第!!」
二階から身を乗り出すように下を見れば、見えたのは紅。
私の淡い色ではなく、熱い炎をイメージさせる紅色だ。
確か、あの紅色は・・・
キュっとたすきで袖を束ねて、そして縛り、二階の淵に足をかけて飛び降りる
怖いが、海に落ちたときに比べれば全然低いしね。うん。
まだ大丈夫だ。
「! 貴殿は何者だ!
もしや、石田殿に仕えておる忍か!!」
『・・・忍が着流しなんてありえないでしょうが・・・』
だが、この青年は少し抜けていると思うのだが・・・
けれど・・・真田源二郎幸村といえば、甲斐の虎の後継者であり、病に伏せる武田信玄の代わりに、武田軍を束ねる現総大将だ。
『・・・何用だ。 武田。』
「はっ、そうでござった!
石田殿にお目通りを願いたい!!」
『・・・ですが、武器は預かります。 無論、置いて行くだけでも構いません。
御付の方々は此処でお待ちください。』
「うむ!」
『城内で変な行動をすればすぐに首が飛ぶものと思ってください。
ただし、城内であなたに攻撃するものがあれば、私がお守りしましょう。』
武器を持って中に入れて、内から攻撃されたんじゃ話しにならない。
私の言葉を簡単に信じ、武器である2本の槍を渡すあたり、もう少し人を疑うことをしたほうがいいと思うのだが…
まぁ、言いか・・・
『・・・っ!』
けれど、軽々渡された2本のやりは思った以上に重く、落とすかと思った。
いや、政宗も刀6本差しててよく平気で走り回れると思うが・・・この男もこの槍を片手で持ってるんだろうし・・・
すごいな・・・。
「あぁ、すまぬ、重いか?」
『ご心配なく・・・大丈夫ですよ。
行きましょうか。』
とりあえず、さっきの声で刑部さんも気がついただろう。
だったら大丈夫だとは思うが・・・
なにぶん、後ろからの武田軍の皆さんが私を睨んでおります。
っていうか・・・どこかになんかいる。
・・・多分、忍
武田といえば真田十勇士といわれる忍隊が有名だ。
・・・多分、今追ってきているのもその忍だろう。
むしろ私が首飛んだり?
・・・まぁ、城内で攻撃されたら、武田は壊滅って言うことで・・・。
軽はずみな行動はしないだろう。
執筆日 20130402
[ 29/80 ][*prev] [next#]
[戻る]
[しおりを挟む]