06




元親とは違う紫色の旗が見える。

タタタっと、だんだんと馬の速度を落としつつ、多分、即席であろう陣に後姿

そして、見慣れた御輿。



『三成さん!刑部さん!』



元親にお礼すら出来なかったが、元親は私に手を振っていた。
振りかえすことすら出来なかったが、きっと彼なら許してくれるだろう。



「やれ、遅いぞ、オソイ」

「・・・」

『申し訳ありません。 始めにご報告を』



私の声に気がついた二人が振り返る。
馬を止めて、それから飛び降り、片膝をつく。

頭を下げてしまったから、もう彼等の顔は見えないけれど。



『伊予川軍との同盟は、破棄。
 頭首、鶴姫は東軍に行くと言い張り、私たちが去った後すぐに行動に移した模様。

 どうやら、大谷様の策が通じなかったようで』

「やれ、真か。」

『はい。 攻撃され応対しましたが、 申し訳ありません。』



でも、今回のことを報告すれば、周りがざわめく。
もしかしたら、刑部さんは回りにも分かるように行動をしていたのかもしれない。

まぁ、仕方の無いことだ。

叶わなかったことは、叶わなかったのだから。



『どうぞ、処罰を。』




けれど、失敗は、したのだ。
だったら、罰を受ける。



走りながら、決めていたのだから。





「弥月。」

『はい。』

「さっさと出陣の準備をしろ。
 金吾をたたきに行く。」

『・・・はい?』




けれど、言われた言葉にキョトンッとして顔を上げてしまう。
そうすれば、ヒヒっといつものように笑う刑部さんと、私にすでに背を向けて歩き始めている三成さんが見えた

私の処罰は、さしずめ、休憩なし。ということか・・・



「弥月がいなくては我の薬を作れぬからな、良かったヨカッタ」

『・・・刑部さん、まさかなにか言いました?』

「我はただ弥月がいなくて困るのは三成と助言したまでよ。」

『言ってますね。はい、そういうのを手を出したっていうんですよ。』




執筆日 20130322


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