05




爆走する馬から落とされないように手綱を握る。
それだけで息が切れるのは仕方が無いだろう。

私は馬に乗るのは、正直苦手だ。


ただでさえ、初陣のときに落馬した(といってもキャッチしてもらった)経験があるが、それ以外でこんなに馬を走らせたのはほんとうに久しぶりだ。


めっちゃゆれる。
勘弁してよ、船で酔わないのに馬で酔いそうだ。



ただでさえ、港に戻ったとき忍さんと軍馬がいて驚いたのに、そこでいきなり次は美作・・・今で言う岡山県に属している場所だ。

いや、確かに安芸からだったから、まだ近いほうだが・・・




『(なんでいきなり・・・)』



今まで気にもしなかったところに・・・
たしか、あそこには・・・



『(秀吉様の奥方・・・ねねさんの甥・・・誰だっけ、えっと・・・)』


小田原? 織田沢?
いや、違う。


小早川だ。
小早川・・・なんとか。


ぶっちゃけ、興味が無い。
なんていったら、仮でも秀吉様の甥だぞ!と怒られそうだけれど・・・



『ねぇ、なんでっ!』

「大谷様よりの命にございます。
 なんでも、小早川殿が裏切りを企んでいるようだとか・・・」

『裏切り・・・ねぇ』



なら、私なんて必要が無いと思うのだけれど・・。
だって、三成さんのほうがそういう制裁には詳しい。

刑部さんだって、呪だなんだって言っているけれど、・・・少し前に三成さんが刑の種類を聞いていた。

そのときに斬首やら晒し首やら溺死やら毒殺やら・・・なんやら言っているのをそばで聞いていたらどうしようもなく逃げたくなった。

いや、しかたないよね。
確かに内臓とかは平気だけど、そんな長々と話されるのはダメだ。



『だったら、私は必要ないでしょって』

「弥月様は石田様をよく理解してなさっているでしょう、だからですよ。」

『はぁ・・・』



まぁ、拷問とか、やる気にならないから別に構わないけれど



執筆日 20130322


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