03




放たれた矢を剣で払い落とす。

どうやら彼女も特殊な能力・・・確か婆娑羅と言ったか・・・それがあるようで、それは氷の能力らしい。
おかげでさっきから寒い。

周りにも被害が及んでいることにこの子は気がつかないのだろうか。


っていうか・・・。



『(海、飛び込むべき?)』



銃では止めをさせない。

何より、周りにいる兵士が私にたびたび攻撃してくるためそのたび撃っていて、私を狙って矢を打ってくるため、銃弾を変える時間が無い。

もう、ホルダーに残っているのは・・・一発だけ・・・。


私にも彼女と同じように力があれば、大分違うのだろう。
けれど、私は生粋の現代人だ。

風を起こしたり、氷を出したりすることは出来ない。

できたら、きっと三成さんの力にだって、もっとなれるのだけれど・・・




「弥月!!」

『ぅ、わっ!』



けれど、いまや聞きなれた声が私の名を呼び、瞬間、目の前を炎が通った。
・・・炎・・・だって・・・?



『っ!』



固まってしまったが、炎の中から現れたのは紫色の羽織。
2時間・・・否、この時代で言えば一刻前に別れた、元親の後姿。



「なにしてんだ鶴の字!」

「そこをどいてください! アナタも西軍なら容赦しません!」

「どういうことだ、」

『知らない、雑賀孫市から東軍に誘われたっぽい』

「サヤカからか・・・チッ」



そして、叫んだ元親に、同じく叫ぶ。
元親に現状報告をすれば、「さやか」とここに来て初めて出る名を言った。

・・・さやか・・・っていうのは・・・雑賀さんのことだろうか。

だが、たとえ二人になったところでこの現状が有利になるはずが無い。

一騎当千・・・というが、たとえそうであったとしても多勢に無勢、不利なのは変わらないだろう。



「引くぞ、そばに船をつけてある」

『りょーかい。』




ここは素直に撤退・・・と言っておこうか



執筆日 20130321


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