03
そういえば、私の愛銃はどうなったのだろうか。
最悪、海の藻屑と化して消えているが、だけど、あの時私は手を離し、銃が船の方へ滑って行くのはちゃんとこの目で見た。
銃・・・で、思い出したが、あの2人の忍は一体どこの忍だろうか。
これも、後で刑部さんに聞かなくちゃいけない。
あぁ、やることが多すぎて頭が回らなくなりそうだ。
「おい、」
『は、い・・・?』
なんて、さっきまで三成さんと一緒に居た庭の縁側に座っていた私にかけられた声。
低い、テノール。
でもどこかアルトテノールのような音域に、きょとんっとして顔をあげれば、そこに居たのは若葉色の着流しを来たその人だった。
・・・!?
『毛利、元就公・・・』
あの戦で、出てこなかった総大将。
なに、私反逆しましたっけ?
元親に来る道中聞いたが、毛利元就は冷徹非道
兵を捨て駒と呼んで、死ぬのも構わない、
そんな人が、私になんだというのだ。
「・・・この西洋火器は貴様のものだろう。」
けれど、放り投げられるように渡されたそれにぎょっとしてしまった、
慌ててキャッチしたが、引鉄を引かなくて良かったと思う。
え、だって、装填してた・・よね
「貴様はあほか、とっくに銃弾など抜いてあるわ。」
『あ、そうでした? それはありがとうございます。』
なんて、思ってたら簡単に考えが読み取られてそういわれた。
苦笑い。
そりゃ中身がはいったまま投げたりはしないよな、普通。
でも、良かった。
「猫。」
『え?』
「貴様は、猫だろう。」
して、猫。貴様の名はなんと言う。
なんて、言われたら、固まるしか無いだろう。
これは、元親を呼ぶべきだろうか
執筆日 20130318
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