04
「医者ってのは本当みてぇだな」
クルクルと治療をする私にかけられたのはその言葉だった。
きょとんっとして顔を上げれば、そこには白の布を抱えた長曾我部さん。
あぁ、私の言葉に布を持ってきてくれたのか・・・
ありがたいことだ。と思うけれど、彼のその言葉は私の手際のよさからだろう。
医者、というのはあながち間違っていないのだが・・・
軍医としては早急な処置を要する、
何よりも・・・うん
人手が足りないから・・・
『いきなりですね。』
「手際がいいからよ。」
『私の両親も医者でしたから。』
「ほぅ?」
『もうこの世に居ないですけど。』
だけど、その質問に苦笑い。
一方の長曾我部さんは私の言葉に目を見開いた、
驚くのも無理は無いだろう・・・
うん・・・ どんどん嘘が増えて行く・・・。
両親が居ないのは確かだ、間違っていない。
「・・・わるいな・・・」
『いいえ、今は戦乱。
私よりも小さな子供が苦しんでいるんです。
それを思うと・・・』
謝られたけれど、でも、それは城下に下りればよく分かる。
此処の人たちは、それはより辛そうだけれど・・
まぁ、奇襲にあったのだったら仕方が無いだろう
「お前はやさしいな。」
『素直な意見です、はい、終わりましたよ。』
「あ、ありがとうごぜぇやす、アネキ!」
『いいえ、大丈夫ですよ。』
でも、いろいろ突っ込みたい。
国王、である長曾我部元親が兄貴って言われるのはすっごくわかるよ。
でもさ、なぜ 私はアネキ?
まぁ、無駄にね、名前を言わなくて済むから・・・
疑問だが、まぁ長曾我部さんが何も言わないからいいだろう。
まぁ、まだ怪我人は多いからなるべく短縮はしたい。
一人一人に手間をかけるわけには行かない。
酷い話だが・・・
「なぁ・・・ 一般人のお前に言うのもどうかと思うけどよ。
お前には本当に大切な人間っているか?」
けれど、言われたその言葉に、今度は私が驚く番だった
執筆日 20130315
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