ぐぅっと身体を伸ばして夜風に当たる。
かれこれ3日いるからそろそろもどらねぇとまずいが、いつきには随分なつかれた。
だが、ここまできたんなら南部領に行って話し合いをしちまいたいが、南部はなんて答えるか・・・
「梵!」
なんて、考えごとをしてたんだが・・・
まるで暴れ馬のごとく私に飛び掛ってきた成実を軽くいなした。
でなきゃ雪とHello!って感じだった。
逆に成実がなったけどな。
「つっめてぇええ!!何でかわすんだよ!!」
『主に抱きつこうとする意味がわからねぇが。』
「だって、早く伝えたくってさ!」
雪から起き上がりそして私へと叫んだ。それに若干睨みつけながらそう言ってやれば、へらりっと笑った成実。
私へと向けられる書状。
「はい、南部領よりお届けってね!」
『・・は?』
「それからこっちは最上の義姫さまからだよ」
きょとんとしてしまうが・・確かに、母上の直筆のものだ。
だから、遅かったのか・・・なんて、思ってしまったが・・・
『・・・よくやった、休め』
「はーい、ふぁあ・・・じゃあおやすみぃ」
この書状は後で小十郎と確認することにして、とにかく成実には休んでもらう。俺、小十郎と続いて、成実は力のある武将だ。
だから、休めるときには休んでおいて貰いたいとおもう
『さぁってと・・・』
とりあえず、手紙の返事を書いて母上に送ろう。
なるべく、文のやり取りはしていたい。
手紙の内容によっては私自ら行かなくてはならないから、小十郎にも相談しないとな。
「もう、行くだか?」
少し寂しそうな顔をして馬上の私を見上げるいつきに、多少苦笑いがこぼれる。
仕方のないこと・・・なのだろうか・・・
私はあんなにもひどいことをしたが、こんなにも懐いてくれたのは、嬉しいことだ。
また此処に来たとき、笑い合える気がする。
『悪いな、私も仕事に追われる身でね。』
「・・・また、」
『あぁ、来てやるさ。そのときは一緒に遊ぼうぜ?』
まだ、馬には乗れないだろうから、前に乗せて。それで青葉城の周りを案内してやろう。
それから一緒に料理でも作って・・
まぁ、それは此処らへんが平和になればっていうことだ。
「政宗様、そろそろ」
『Ok、I understand いつき、またな。』
小十郎に呼ばれて、返事をし、今一度いつきを見下ろす。
それから、軽く疾風の腹を蹴り、歩かせた。
「約束だべ!絶対また来てくんろ!!」
『あぁ、約束だ!』
それに、ついてくるように疾風の横を歩くいつきがそう言って。
笑ってそれに答えて、そして駆けだした。
「先に南部領へ行くんだろ?梵」
『あぁ、そのつもりだ。だが、部隊は半分にする。綱、今回ので怪我した奴等もいる。さきに最上領へ向かわせてくれ。』
「はい、わかりました。あまり無理はなさらないで下さいね。」
執筆日 20130801