慣れた雪道を走る。今日は殺しじゃねぇ。
ただ、一揆の鎮圧だ。



「お侍だからってえばんじゃねぇ!オラたちの力、みせてやるだ!」
『・・子供・・・?』


響くように聞こえた声に、固まった。
けれど、その子供の声に私たちの周りを囲む農民達が声を張り上げる。

「いつきちゃんのためだ」と、
「あの子も頑張っている」と・・・

あぁ、そうか・・・こいつらは、あの子供におもいをはせている。


『小十郎。』
「はっテメェら! 誰一人として傷つけるんじゃねぇぞ!!」


誰も悲しませないための一つの枷。それが、たとえ偽善であろうと、私は誰ももう泣かせたくない。刃を潰している刀を振り上げる。

所詮は峰打ち、死にやしない。場所が、場所でなければ・・・


『手の開いている奴等は気絶させた奴等は凍死しねぇように集めとけ!』


此処は寒い。最悪そのまま死んじまう。そんなのは絶対ゆるさない

たとえ、今此処で敵でも、
こいつ等は俺の国の、大切な民だ。





慣れた雪道を走っていく。門番は勿論気絶させた。
開門すれば、農民達が襲い掛かってきたがうまくいなして走った。


現れたのは、巨大な岩のようなハンマーをもった私よりもずっとずっと小さな女の子。
だが、やはり大きな獲物に振り回されてうまく的を絞れて居ない。


「お侍さん、心はいたまねぇだか?」


うまく、打撃だけを与える少女も少女でうまい、
一撃一撃の的確性はない、

ただ、一撃一撃が、重い。


「逃げるべ!いつきちゃん!!」
「あっ!」


だがおそらく、この一揆を企てた一人だろう、
小さな少女を抱えて走りだした

あぁ、そうだろうな。
そりゃこどもを守りたいと思うだろる。
小十郎が追おうとしたが、一度止めた。今は引かせてやる。


「政宗様、何故。」
『小十郎、私たちは戦をしに来たわけじゃない。一揆を鎮圧しに着ただけだ。少し様子を見ようぜ。もう少ししたら成実も到着する。』



念を入れる。
それが、あれからの教訓だ。だから、伊達の智と武といわれる小十郎

それから今はここにいない成実の到着を待つ・・・それだけだ・・・
そう、それだけのつもりあったんだが・・・


『・・・うまく、いくはずもねぇか・・・』


成実につけていた忍が持ってきた文には、道が雪でふさがってて馬が動けない。
で、間に合いそうもない。


・・・とのことだ。
ち・・・つかえねぇやつ・・・


「行きますか?」
『Oh・・・そうだな。』


さっさと行けばその分早く終る



執筆日 20130525



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