これは、きっと



私の罰なんだろう。



六爪は私の持っている一本以外地面に突き刺さり、私はかけまわっている

甘く、見すぎていたのだ、すべて・・・



『Shit・・・ッ』




断末魔の叫びと、そして、転がる蒼。
土足でその蒼が蹴散らされ踏まれ、赤が広がり色がかわって行く。



『っあぁぁああ!!』



兜を被っていては私だとわかるといわれ、私の今の格好はかなりの軽装だ。
蒼い、伊達の色を羽織戦場を駆け巡る私はまさに恰好の獲物だろう。

そんなの、かんけいない。




これ以上・・・私から何を奪おうってんだよ。


視界の端に小十郎と成実を捕らえる。

兜を被っていない私。
そして一番力量のある小十郎はいつもの戦装束ではなく、蒼の衣を纏ってるから、余計だ。



『っ』



けれど、そんなことに意識を集中させている暇なんて、無かった。
打ち込まれるたくさんの矢。


私一人に対して、だ。




『っ・・・ッ』



身をかがめて、刀に意識を集中させる

バチッ・・・



静かに、雷が鳴る。
私は、負けられない




負けられない。














「姉上!!」



でも、だ。



弓矢にばかり気を取られていた。



銃声
銃声と赤が・・・散る。


やめて・・・


『っ小次郎!!!!』



ぐらりと私よりも少しだけ小さなもの。
そして、何よりも・・・


私の大切な、弟。


蒼の衣に、赤が広がって行く。
小十郎と成実の視線がこちらに向いた。


手を伸ばす、伸ばすけれど



『っ・・・』



小次郎は、笑っていた。
どう、して・・・


トンっと、広げた手の中に崩れ落ちてきた。
そんな私たちの周りにいつ駆け寄ってきたのだろう、伊達の誇る忍・・黒頭巾の長二人と、そして、小十郎。

お前等なんで・・・そう思ってんのに、駄目だと思ってんのに身体は言うこと聞かなくて・・・
どさりと、小次郎の身体を抱えて、座り込んだ。



『小次郎、こじ、ろう・・・ っ』


だんだんと、私の蒼と、小次郎の蒼が、赤にうまっていく。いやだ・・・いやだ・・・っ


『死ぬな、っ逝くな小次郎!!!』



わかってる、
この時代じゃ、助からないって、わかってる。、
でも、でも・・・


「あねうえ・・・っ」
『っこじ、ろ』
「じく・・じくまるは・・・・・ずぅっと・・あねうえと・・ともにあそび・・・たか・・った・・」



かけられた、声。
蚊が鳴くように小さく、そして浅い呼吸と止まらない血が確実に小次郎を苦しめてる。

つぅっと、小次郎の目から涙が流れる。



『あぁ、あぁ、 帰ったら一緒に遊ぼう、だから、だから・・・っ』


ぎゅぅっと、抱きしめた、
お願い、お願い・・・


もう、私のものを・・・

大切な人を


「あね・・・うぇ・・・だぁ、い・・すき・・・」


一度、空と私を、映して

ゆっくりと



『こじ、ろう・・・?』


ゆっくりと、目を、閉じた。






*-*Side Kojyuro*-*



小さく、弟君をよんだ政宗様に振り返る。
ぐったりと政宗様の腕の中にいる彼の方は、きっともう・・・


パチ・・・


「政宗様・・・?」



かすかに、政宗様の体が電気を帯びる。
それは政宗様本来の・・・婆娑羅・・・

地面にそっと、手の中の弟君を下ろすと、さらにその力は威圧感を増す。




『小十郎
     ここを任せる。』

「っ政宗様!!」



そして、地面を蹴って駆け出したあの方の背は、まるで、死に向かうような背で・・・
酷く脆く見えた。






執筆日 20130626



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