『義姫様・・っあの』
「なんじゃ? 政宗」
『いや・・・その・・・』
くるくると少しずつ色の違う着物が当てられる
まるで着せ替え人形だ。
いや、本当に何が起こってこうなっているのかは理解できないが・・・。
「やっと手元に帰って来たのじゃ・・少しくらいはおなごとして、妾に可愛がられておくれ政宗」
『うぅ・・・』
輝宗様が亡くなって、まだ日が浅いというのに・・こんなことをする気にはなれなくて・・・。だって、本当にあの方とは・・・まだ何にもいえなくて・・・
「それに、父に晴れ着を見せたいでしょう?」
『え・・・』
「埋めてしまう前に・・妾は最後に過ごしたいのよ。親子4人で・・・」
『っ・・・』
親子四人。
その言葉に酷く辛くなる。四人
私と・・・輝宗様と義姫様・・そして・・・小次郎のことだろう。もう、叶わないことだけれど・・・
でも、一瞬だけ見えた義姫さまの瞳は酷く・・寂しげで・・・
『・・・わかり、ました。』
こんな格好、他の連中には晒せやしないが・・・
彼女の前では、政宗はおなごとしておりましょう。
それが、
『(親孝行・・というものならば)』
普通ならば恨むところだろうが・・私は本当は男にうまれるはずだったのだから
そんなこと、いえない。
するりと絹のような短い髪を纏め上げられて、そっと紅がすべった。
執筆日 20130617